原爆資料館の信念を受け継ぐドキュメンタリー映画「原爆資料館 語り継ぐものたち」8月1日から大阪・神戸で公開
原爆資料館の信念を受け継ぐドキュメンタリー映画「原爆資料館 語り継ぐものたち」8月1日から大阪・神戸で公開

「地元の声を聞き続けてきた広島のメディアでなければできない作品だと思う」――。広島ホームテレビの立川直樹・報道部長(48)は、完成したドキュメンタリー映画「原爆資料館 語り継ぐものたち」にそんな思いを込めた。8月1日から大阪市の第七芸術劇場と神戸市の元町映画館で公開される。

原爆資料館の歩みと100時間の映像

映画は、1955年に開館した広島平和記念資料館(広島市)の歩みを追う。同館は2万2000点以上の遺品や写真、資料を収蔵し、来館者は累計8000万人を超える。3度の改修を経て、現在は被爆の実物資料を中心に展示している。

作品は、広島ホームテレビが記録してきた歴代館長らの証言映像に、新たな取材を加えて制作。立川氏と報道部の斉藤俊幸記者(29)が監督を務めた。撮りためた映像は計100時間以上になる。

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歴代館長の言葉を受け継ぐ

立川氏は「悲劇の事実から何を伝えるのか、というしっかりした方針が代々の館長や学芸員にあり、その流れを映像で丁寧につなごうと意識した」と振り返る。映画には、被爆して亡くなった3歳の子どもが遊んでいた三輪車も登場する。

1983~93年に館長を務めた川本義隆氏(2002年死去)が、被爆した同級生の写真を見ながら「私を置いて死んでいった」と語る映像は、立川氏が「生々しさと真に迫る力があって、(被爆が)つい昨日のことのようだった」と感じ、映画に盛り込んだ。新たな取材では、歴代館長の妻や孫にも話を聞き、当時は語られなかった思いにも迫る。

ナレーションなしの映像表現

作品にナレーションはなく、字幕も少ない。立川氏は「話す人の表情や雰囲気、遺品の意味など、映像の力が大きくて補強する必要がなかった」と説明する。

横浜市出身の立川氏は、小学生の時に初めて資料館を訪れ、展示が怖かった印象を覚えている。2001年に広島ホームテレビに入り、05年から報道記者を務めるが、資料館は「どちらかというと近づきたくない場所だった」という。

被爆体験を聞いて変わった思い

しかし、1979~83年に館長だった高橋昭博氏(2011年死去)から14歳で被爆した体験を聞き、考えが変わった。「本当に悔しい。核兵器はなぜなくならないんですかね」と言われ、「託された気がした。義務として伝えなければならないと思った」と語る。

8月1日から大阪・神戸で公開

映画は101分。英語版も制作され、立川氏は「全国の人たち、世界の人たちに見てほしい」と話す。8月1日から第七芸術劇場(大阪市)と元町映画館(神戸市)で公開され、28日からは京都シネマ(京都市)でも上映される。

「証言できる人が減っていく中、残された遺品でどう伝えるかを真正面から考えた人たちの話を映画にした。二度と繰り返してはいけない、と語り継ぐことの難しさと大事さを届けたい」と立川氏は語っている。

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