本編映像と場面写真が初公開
第97回アカデミー賞国際長編映画賞のイラク代表作品『バグダッド・メッシ 片足のサッカー少年』(2026年8月7日公開、配給:ハーク)の本編映像と場面写真5点、監督コメントが公開された。
メッシに憧れる少年の物語
本作は、リオネル・メッシに憧れるバグダッドのサッカー少年ハムディが、イラク戦争に翻弄されながらも困難から立ち上がる姿を描く。爆撃で片足を失っても「サッカーへの想い」を胸に歩み続ける少年の姿が、希望さえも飲み込もうとする非情な現実の中で、人間が生き抜くことの真の意味を問いかける。
アカデミー賞最終候補から長編化
本作は、2015年にアカデミー賞短編実写部門の最終候補作品を長編映画化したもの。第97回アカデミー賞国際長編映画賞イラク代表に選出され、各国の映画祭で最優秀賞を席巻。主演のアフマド・モハメド・アブドラも第10回ドホーク国際映画祭で最優秀男優賞を受賞した。
主演自身の実体験がもたらすリアリズム
主演アフマド・モハメド・アブドラは5歳の時、テロによって片脚と最愛の父を失った過去を持つ。彼がハムディと同じくメッシへの憧れを胸に不屈の精神で立ち上がる姿は、演技を超えた痛切なリアリズムを体現している。
公開された特別映像の内容
今回公開された特別映像は、一瞬の爆撃で左脚を失ったハムディが、移住先の地元サッカーチームの子供たちと「入団」を巡って緊迫の取引を行うシーン。舞台は2009年のイラクの田舎町で、テレビを所有する家庭が非常に希少だった時代。メッシの試合が始まろうとする中、テレビがあるハムディの家には近所のサッカーチームの少年たちが群がっていた。
片脚のハムディをチームに入れたくない少年たちに対し、ハムディは「もう家に帰ってよ」「僕のテレビだ。決定権は僕にある」と容赦なく告げる。テレビという最強の利権を盾に一歩も引かないハムディ。少年たちも「じゃあ机を返せ」と応戦するが、ハムディは「バグダッドでは大勢で見てた。みんなで見たほうが楽しいよ」と必死に交渉する。メッシの試合をどうしても観たい少年たちから「ハムディをキーパーにしたら?」という提案が飛び出す。最初は「松葉杖のキーパーか」と難色を示す声もあがるが、ハムディに理解のある少年の一言で、テレビの誘惑に勝てない少年たちはハムディの入団を認める。ハムディのほっとしたような微笑みが、過酷な現実に直面しながらもサッカーとメッシのために逞しく生きる少年の素顔を感じさせる。
監督コメント:最もパーソナルな作品
監督のサヒム・オマール・カリファはコメントを寄せている。「『バグダッド・メッシ』は、これまでの私の作品の中で最もパーソナルな一作であり、心から大切に思っている物語です。戦時下のイラクで育った私や友人たちは、サッカーに夢中でした。どんな状況に置かれても、私たちは常にボールを蹴り続け、テレビで流れる試合を夢中で追いかけました。サッカーは、耐え難いほど凄惨な現実から私たちを救い出し、何よりも、絶望の淵にいた私たちに『希望』と『喜び』を与えてくれたのです。『情熱があれば、恐怖すら消し去ることができる』……その本当の意味を理解したのは、ずっと後になってからのことでした」
「この脆く、繊細な実体験を、幼い主人公ハムディを通して描こうと試みました。爆撃によって片足を失ってもなお、彼はプロのサッカー選手になるという夢を捨てません。客観的に見れば、その夢が叶わないことは分かっていても、それは絶望的な状況において一筋の光となります。誰もが、人生の最も困難な時期を『決して諦めない』という姿勢で生き抜こうとする少年の姿に共感し、エールを送ることでしょう」
「イラクで宗派間対立が激化していた頃、私はベルギーで通訳として働いていました。そこで戦争の複雑さ、そして何が『正しく』何が『間違い』かという判断がいかに主観的なものであるかを痛感しました。イラクの人々を助けたい一心で働いていたにもかかわらず、『アメリカへの協力者』や『裏切り者』と呼ばれることの意味も知りました。こうした戦争の複雑な側面を、本作の物語にも投影しています。悲しいことに、このテーマは現代の世界において、かつてないほど切実なものとなっているからです」
「私たちが求めていた『本物』の質感を出すため、全編を私の故郷であるイラクで撮影しました。撮影の機会を与えてくださったバグダッド、モスル、エルビル、ドホークの地方自治体の皆様、そしてこの重要なプロジェクトを支えてくれたベルギー、オランダ、ドイツのパートナーとクルーの皆さんに、心から感謝の意を表します」
ストーリー概要
2009年、イラク戦争下のバグダッド。メッシに憧れる11歳の少年ハムディ(アフマド・モハメド・アブドラ)は、仲間たちと泥だらけのサッカーボールを日々追いかけていた。しかし、一瞬の爆撃に巻き込まれ、目覚めると片足を失っていた。夢も自由も奪われ、さらにアメリカの警備会社で通訳をする父を憎む者に家を焼かれてしまった一家は辺境の村へ逃れる。片足を理由に地元のサッカーチームから拒絶され、何もかもが変わってしまった世界で居場所を見失うハムディだったが、閉ざされた少年の心を両親の愛が動かし、もう一度夢を見るために一本の足でも立ち上がろうとする。しかし、戦争という無慈悲な現実はなおも容赦なく彼らに襲いかかる。
出演者とスタッフ
出演者は、ハムディ役にアフマド・モハメド・アブドラ、サルマ役にザフラー・ガンドゥール、カーズィム役にアセール・アデル。監督はサヒム・オマール・カリファ。製作はA Team Productions、Column Film、10.80 Films、Macgyver。



