TBS系ドラマ『Tシャツが乾くまで』(毎週金曜22:00~)の脚本を担当する生方美久氏が、制作の裏側を語った。同作は、とある事故をきっかけに日常が崩れ去った二組の夫婦の喪失から始まる“愛”と“秘密”を描く物語。TBS作品初執筆となる生方氏は、これまで『silent』『いちばんすきな花』『海のはじまり』などを手がけ、大きな話題を呼んできた。
映像化への期待と驚嘆
生方氏は、主演の蒼井優さんをはじめ、TBSのドラマや演出の土井裕泰監督と初めてタッグを組んだことについて、「こういうお芝居、演出になるのか」というイメージとの違いがおもしろいと語る。また、美術や衣装なども含め、頭の中にあった映像がさらに膨らんだ感覚がすごく面白かったと述べ、一視聴者としてワクワクしながら楽しんでいるとコメントした。
蒼井優さんについては、脚本家になる前から憧れの存在だったといい、「本読みの場で初めてお会いしたのですが、その一言めから本当に圧倒的で。衣装も着ていない状態にもかかわらず、こんなにも咲子になれるのかと」と絶賛。映像を見た際には、「自分の思い描いていた咲子でもあるし、私の想像を悠々と超えていってくださっていて。とにかくすごかった」と語った。
印象に残るシーンと夫婦の在り方
特に印象に残っているシーンとして、第1話で咲子が警察で充の遺品を見たときに少し笑ってしまう場面を挙げた。生方氏は、遺族の反応についてリサーチした中で、予期せぬ死を迎えるとパニックになり、笑ってしまう反応が自然にあることを知ったという。しかし、ドラマで描くと「もっと悲しむだろう」と思われがちなため、演技の塩梅が重要だったと説明。蒼井さんが“何とか悲しみをごまかしている”さまを見事に演じたと称賛した。
夫婦や結婚についてのリサーチでは、「調べれば調べるほど『人それぞれすぎる』となってしまいました」と笑いながら、「夫婦の在り方に正解はありません」と語る。また、マッチングアプリで出会う夫婦が増える中で、「最初から情報を開示している夫婦が増えている中で、『言えなかったことを持っている夫婦』というのは面白いかも」と、ドラマに込めた思いを明かした。
キャラクター作りの工夫とタイトルの由来
キャラクター作りでは、分かりやすく対照的にすることを意識しなかったといい、主人公の咲子を中心に置いたときのバランスを考えたという。咲子と樹生は、お互いに夫婦を喪失しているため、似ている部分に惹かれることもあれば、違うから安心することもある。「矛盾するけれど近づいてしまうところは、調整しながら作っていきました」と語った。
タイトルについては、コインランドリーや洗濯をメタファーにした作品を作りたいと考え、スタッフと話す中で「Tシャツが乾くまで」に行き着いたという。当初はYシャツ案もあったが、「Yシャツだと一気に“不倫感”が上がりませんか?」という意見が出たそう。Tシャツは男女の差があまりないフラットなものとして選ばれ、「このタイトルだと、どういう話なのかは分からないけれど、逆に興味を引くかな」と気に入っている様子を見せた。
視聴者へのメッセージ
生方氏は、情報解禁時に「共感や感動を目指した物語ではないので、人間観察の感覚でお楽しみください」と話していたが、第1話を見た松山ケンイチさんから「共感と感動、あったよ!」と言われたことを明かした。その上で、「自分には想像できない言動をとる人間を見る面白さがある」とし、少し距離をとった見方もおすすめしたいと語った。
また、「どんなドラマの楽しみ方も正解だと思います」とし、1回目はフラットに見て、2回目は見逃し配信などでじっくりセリフを拾うことを提案。物語は、充が亡くなった理由が分からないまま中盤に突入しており、謎のヒントは生方氏の言葉に隠されている。
【編集部MEMO】同ドラマの主題歌にはスピッツの新曲「見知らぬ糸」を起用。同曲はドラマのために書き下ろされた楽曲で、スピッツがTBSドラマの主題歌を担当するのは、2001年放送の日曜劇場『Love Story』主題歌「遥か」以来、25年ぶりとなる。



