時代を超えて愛される名作絵本「あらしのよるに」が今秋、初めて浪曲になる。関西浪曲界のホープ、真山隼人(31)が手掛け、10月18日に大阪市中央区の山本能楽堂で初披露される。
浪曲との相性の良さを強調
浪曲らしい義理と人情と葛藤が詰まった作品で、隼人は「読むだけで(浪曲の)節が湧いてくる。『浪曲絵本』といっても過言ではない」とその相性の良さを強調する。
原作の絵本は平成6年発刊のきむらゆういち作のベストセラー。嵐の夜に偶然出会ったオオカミのガブとヤギのメイが「食うものと食われるもの」という関係を超えて育む友情を描き、小学校の教科書に採用されたほか、アニメ映画化や歌舞伎化もされている。
修業時代から温めた構想
隼人が原作にインスピレーションを受けたのは、修業時代の10代半ばにまでさかのぼる。年の離れた弟の子守を通して原作を読むや、「これは浪曲になるなと思った」という。
長年心の引き出しにしまっていた構想を具現化させたきっかけは、2年前から始めた話題の文芸作品の浪曲化だ。漫画の「じゃりン子チエ」や「深夜食堂」、京極夏彦の小説「巷説百物語」などの浪曲化が好評を得る中で、「子供作品というか、子供と大人の境目で聴いてもらえる作品はないか」と今作を思いついた。
テーマは友情と葛藤
浪曲「あらしのよるに」のテーマは「友情とその裏の葛藤。それを乗り越えた先にある愛情」だと隼人は言う。中性的なメイとやぼなところもあるガブを多彩な声色で巧みに演じ分け、曲師の沢村さくらの三味線も動物たちの躍動感や激しさを追求する。
前売りは3000円だが、若い世代にも来てもらおうと20歳以下は2000円に。「浪曲は古くさいもんじゃないよ、というのを見てもらいたい。ゆっくり分かりやすく演じます」と話した。浪曲友の会(090-7869-1309)。



