良好な人間関係を築くにはどうすればいいのか。ドラえもんを研究する富山大学名誉教授の横山泰行さんは、スネ夫は“嫌なやつ”という扱いをされるが、人を褒めることに関しては芸術の域に達していると指摘。スネ夫の言い回しには大人が学べるポイントがいくつもあるという。
スネ夫の褒めテクニックは「芸術の域」
『ドラえもん』のスネ夫といえば、自慢話ばかりでジャイアンに調子よく取り入る“嫌なやつ”の印象を持つ人が多いかもしれない。しかし、長年『ドラえもん』を読み解いてきた横山さんによれば、こと人を褒めることにかけて、スネ夫は達人だ。しかも口先だけのお世辞とは違い、相手をよく観察し、頭を使って魅力を探し出す。スネ夫の褒めテクニックは、芸術の域に達していると言えそうだ。
具体的な場面として、ジャイアンがスネ夫に「いっしょうけんめい歌のレッスンしてたらよ、かあちゃんがよ、家の中でヘンな声を出すなって。パシーッとひっぱたくんだよ」と話す。スネ夫は思わず笑ってしまうが、ジャイアンに睨まれ、「そりゃひどい‼ きみんちのママはきみの歌のすばらしさがわからないんだ。きみこそ日本一の大歌手になる人だよ。なにがなんでも練習をつづけなくちゃ」と口走る。するとジャイアンはスネ夫を抱きしめ、「心の友よ‼ おれの芸術がわかるのはおまえだけだ」と涙を流した。
「歌がうまい」を具体的に言い換えた
横山さんは、スネ夫の「きみこそ日本一の大歌手になる人だよ」というフレーズは、「歌がうまい」という意味を具体的に、何倍も上手に言い換えていると解説。このフレーズには「相手に夢をもたせる」効果も期待でき、普通の人にはハイパーな技術だが参考になるとしている。
また、「(ジャイアンは)なにがなんでも練習をつづけなくちゃ」という言葉は、相手に何かを提案することが結果的に褒めにつながる「アドバイス型」と呼ばれるスタイルだ。アドバイスをすることで「あなたを大切に思うからこそ」という気持ちが伝わるという。
スネ夫流「褒め方」の世界は奥深く、本書を読み進めるほど頭が進化すると横山さんは述べている。



