スモーキングルーム第306回 煙が遺失物室を出て「ここを守りたい」と表明 金ボタンは元軍人に国際電話する
スモーキングルーム第306回 煙が遺失物室を出て「ここを守りたい」と表明 金ボタンは元軍人に国際電話する

煙はぼんやりとした声で言い、「もらったんだ。だから、これをここに置くわけにはいかない」と語った。そして「彼の遺失物もここにはない」と呟いた。

「だから、彼はもうここには帰ってこないのかもしれない。僕は彼を探しにいくべきだったのだろうか」

金ボタンは口をひらいて、またとじた。何も言えなかった。裸電球に照らされた煙の横顔と遺失物たちの影を見つめた。

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煙の告白と金ボタンの記憶

「彼女に言われたんだ。あなたは正しいホテルマンなんだね、と。答えられなかった。僕は彼のようなホテルマンにはなれなかった。すべてのお客様をもてなすことができなかった。鳥の巣と同じだ……。僕は、彼の、復讐をした……」

「煙!」と金ボタンが叫んだ。立ちあがって肩を摑む。「俺は知らない! 誰も知らない!」

金ボタンは知っていた。地下で鳥の巣を待ち構えていた時、煙の部屋で新聞の切り抜きを見つけた。そこには白黒の写真があった。金ボタンがサングラスの軍人に見せられた、眼鏡の山の写真。それは、針金の墓標だった。

針金を探すことなど煙にはできなかった。待つという希望にすがるしかなかった。煙が目を彷徨わせる。すぐ目の前にいるのに、煙の青い瞳はどこか遠くを見ているようだった。

「だから、せめて、ここを最後まで守りたい」

煙は静かにそう言うと、遺失物の部屋を出ていった。隣の部屋のドアが閉まる音が響き、地下は静かになった。

翌朝の朝礼と金ボタンの決断

次の日の朝礼で、煙は「やはり落ち着かないので、わたくしに休みは必要ありません」と言った。美丈夫は食い下がったが、煙は譲らなかった。煙は金ボタンと二人きりの時も、砂糖煮の娘と三人でいる時も「わたくし」のままになった。

金ボタンはサングラスの元軍人に国際電話をかけ、「承ります」と返事をした。

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