山岳怪談には、心の奥に焼きつく怖い話がたくさんある。でも回避策もある。山に行かなければいい――と思っていたら、本書にはその策が通用しない。「裏山」だから。いくつかの大都市を除けば、私たちの生活圏内のほとんどの場所に、裏山は存在している。そうではない場所に住んでいる人でも、旅行したり帰省したりすれば、ね。山がちなこの国においては、「都市の隣にあるからこそ、山は異界になるのだ」。
身近な裏山の恐怖体験談52編
著者は『よみがえる「学校の怪談」』で、私たちの胸に郷愁と共にかつての恐怖を思い出させてくれた実話怪談ライターだ。本書は日本各地の身近な裏山にまつわる恐怖の体験談全五十二編を集めて、章題でざっくり分類している。
特に怖いエピソード
「声」の章の「にわの山」が怖すぎて、私はここでいったん読むのを休みました。お稲荷さんや巻き寿司がお好きな方はご注意を。「ニュータウン」の章の「水を抜く」も怖い。「ワニがね、出るんだって」。そして子供は一人もいなくなってしまった、と。「化かすもの」の章だけは、ちょっと息抜き。どうぞまわりを明るくしてお読みください。(1760円)



