鳥取県大山町のアーティスト福留信子さん(54)の抽象画「めぐりめぐる」が、日本人芸術家を発掘する「NY公募展2026春夏」で次席の優秀賞に輝いた。更年期による心身の変化をテーマにした作品で、米子市の喫茶店「ロコ」で開かれている個展で25日まで展示中だ。
手のひらで描く独自技法
「めぐりめぐる」は縦33.3センチ、横45.5センチ。筆を使わず手のひらでなでるように描く「なで描き」という独自技法で制作。アクリル絵の具とオイルパステルを重ねたり剥がしたりして層をつくり、和紙や新聞紙も用いてユニークな質感に仕上げた。
NY公募展はアーティスト支援を行うアートインキュベーション協会(東京都港区)が主催。入賞者は米国で作品を展示する機会を得られる。「めぐりめぐる」は感情の機微がうまく表現されていると評価され、200以上の応募作の中から優秀賞に選ばれた。
更年期の体験から生まれた作品
福留さんの更年期は昨年、突然訪れた。生理が月に2度来るようになり、理由もなく涙が流れる。明るい母、妻であろうと振る舞う一方で、コントロールできない感情の揺らぎに苦しんだ。「助けて」——いつも絵を描いている台所で、無心でキャンバスに手を滑らせた。
色を重ねるうちに、流れたはずの時間が自分の中に蓄積し、層となって浮かび上がってくるように感じた。「まだ私、できるかも」。喪失感や戸惑いから解き放たれ、活力がよみがえった。作品名には命や生理の循環性、再生の喜びといった意味を込めた。
なで描きは「自分の心を優しく抱きしめ、大切になでること」という福留さん。「作品を見ている間、ほっとしたり、自分自身を見つめるひとときになったりすればうれしい」と話している。
3回目の応募で優秀賞
NY公募展への応募は3回目で、2023年は佳作、2025年は準優秀賞を受賞。米マンハッタンでの展示経験もある。
個展では受賞作3作品を含む約40点を展示。営業時間は午前9時~午後5時で、午後2時からは福留さんが在廊する。問い合わせは福留さん(080-1934-6875)まで。



