天文学者が語る宮沢賢治の宇宙知識の深さ「銀河鉄道の夜」
天文学者が語る宮沢賢治の宇宙知識の深さ

天文学者の渡部潤一氏が、宮沢賢治の童話『銀河鉄道の夜』に込められた宇宙知識の深さについて語った。渡部氏は小学生の頃にこの作品を読み、その後天文学を学ぶ中で賢治の知識の凄さに気づいたという。

大正末期の驚くべき天文学的洞察

『銀河鉄道の夜』は、孤独な少年ジョバンニが親友カムパネルラと銀河鉄道で星空を旅する物語。1920年代、賢治が書き始めたとされる。渡部氏は「天文学の知識が一般化していない時代に、天の川が星の集まりだと認識し、その構造を理解していたのは驚くべきこと」と指摘する。

作品には「アルビレオの観測所」が登場し、屋根の上で青と黄色の玉が輪になって回る表現がある。渡部氏は「アルビレオは実在するはくちょう座の二重星。肉眼では一つに見えるが、黄色の主星と青の伴星が美しく並んでいる。自分が天文学を学ぶようになると、賢治の知識のすごさが分かってくる」と述べる。

Pickt横長バナー — Telegram用の共同買い物リストアプリ

人生経験で変わる読み方

渡部氏は「研究で、あるいは人生で壁にぶつかったとき、立ち止まって落ち着くために手に取ります」と語る。特に人間関係で悩むと「気持ちがブラックホールに落ちて行きそうになる。そんな時に原点に戻れる。人間は生きていれば何とかなるんだと勇気づけられます」と述べ、ジョバンニがカムパネルラの悲しい死を受け入れつつ生きようとする姿に感銘を受けるという。

『新編 銀河鉄道の夜』には「シグナルとシグナレス」も収録。本線の信号機と軽便鉄道の小さな信号機の「身分違いの恋」を描く。渡部氏は「格差社会」というテーマに気づき、最後に二人が宇宙に飛び立つ合図としてバイエル符号(星座ごとに恒星の明るい順につけるギリシャ文字)が使われている点に感激したという。「エキゾチックな響きが好きで、作品を読む前から呪文のように暗唱していた」と振り返る。

Pickt記事後バナー — 家族イラスト付きの共同買い物リストアプリ