絵物語『空腹の怪物』評 共感と消費の境界を問う
絵物語『空腹の怪物』評 共感と消費の境界を問う

『絵物語 空腹の怪物』は、歌い手そらるの楽曲を、暁佳奈が新たな視点で物語化し、ハナが絵を手がけた作品だ。他者の「悲哀の心」でしか空腹を満たせない怪物と、生贄として捧げられた少女の交流を、少女の視点から描く。

他者の悲しみを糧にする存在

誰かの悲しみや苦しみを糧に生きていく怪物の姿は、他者の悲しみに触れ、ときにそれを消費してしまう私たちと無縁ではない。その一方で、自分の痛みなら耐えられても、大切な人が傷つく姿を見るのはつらい。

本書の奥底にあるのは、他者の悲しみによって満たされながら、それが愛する人の悲しみであれば耐えられないという、人間の矛盾であろう。この矛盾を分ける境界は何か。

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共感と消費の曖昧な境界

この怪物も少女も、遠い架空の存在だ。それでも私たちは二人の悲しみに共感する。その瞬間、共感と消費を分ける境界は、驚くほど曖昧になる。楽曲から生まれた物語と絵を通して、他者との向き合い方を問い直してくる一冊である。(1980円)

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