絵本作家・山崎由貴さん、3作目「プリンぷり~ん!」刊行 日常の笑顔を描き続ける
絵本作家・山崎由貴さん、3作目「プリンぷり~ん!」刊行 日常の笑顔を描き続ける

美幌町出身の絵本作家・山崎由貴さん(35)が今年6月、3作目の絵本「プリンぷり~ん!」(小学館)を刊行した。学童保育で子供たちがプリンをめぐって繰り広げた「おかわりジャンケン」が発想の出発点。日常の出来事から紡ぎ出す物語と、ぬくもりあふれるタッチで、子供たちの笑顔を引き出している。

「おかわりジャンケン」から生まれた物語

学童保育を手伝っていた時、子供たちがプリンの「おかわりジャンケン」を始めた。負けた子が泣いてしまい、小さなプリンをめぐって大げんかになってしまう。なだめながら「みんなで好きなだけ食べられ、笑えたらいいな」と頭をよぎった。3作目の「プリンぷり~ん!」は、そんな体験が出発点だった。

山崎さんは、菓子作りに興味を持ち始めた小学生の頃、近くのコーヒー店のマスターにプリンのレシピを教えてもらい、自宅で母と一緒に作ったことを思い出す。カラメル作りから飾り付けまで、ステンレス型の「カップさん」と一緒に、読者も疑似体験できる構成が浮かんだ。色鉛筆に加え、アクリルガッシュという絵の具でプリンの質感を再現した。

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美術の道へ、広告批評とCDジャケットの模写

絵を描いたり、物語を考えたりするのは好きだったが、美術の世界を意識したのは中高生からだった。広告を多角的に分析した当時の人気月刊誌「広告批評」にくぎ付けになり、CDジャケットやライブポスターをひたすらコピーしていた。高校の先生の勧めもあって美術大に進んだ。

美術大を卒業後、広告会社、出版社、美術教員を経験。「何が向いているのか」と自問した末、「自分で考え、自分で創り出す」と結論を導いた。帰省して友人の子供に絵本を読み聞かせした時、ケラケラケラと笑う箇所を繰り返し読むと、笑顔も繰り返した。「絵本って素敵だな」。追う夢の形が見え、創作活動を始めるきっかけになる。

グランプリ受賞で決意、日常からの着想を大切に

絵本コンペなどに応募を続け、おすしを人気低迷中のアイドルに見立てたキャラクターたちが、敏腕プロデューサーの魔法によってトップアイドルグループに駆け上がるサクセスストーリーの「おすしアイドル」がMOE創作絵本グランプリに輝いた。これも、回転すし店ではしゃいでいる子供たちの姿に発想を得た。絵本界では新人作家の登竜門とされる賞の受賞で腹は決まった。「一生かけて続ける」と。

いずれも日常の出来事からの導きが作品にすり込まれ、読む人の想像力をかき立てる。「みんなが笑顔になる世界を描き続けたい」。着眼と発想を大切に「ほほえみ」の連鎖を創造する。

山崎さんは1991年生まれ。美幌町出身、武蔵野美術大卒。2024年「おすしアイドル」(白泉社)でデビュー。25年の「ねりものハウス」(スール)に次いで今年6月に「プリンぷり~ん!」(小学館)を刊行した。東京都内で夫と2人暮らし。大学選びの時期、同大卒のリリー・フランキーさんの小説「東京タワー~オカンとボクと、時々、オトン~」がベストセラーになり映画化やドラマ化された。マルチな活躍に少なからず羨望があったかもしれないという。

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