「広辞苑」編んだ新村出氏の生誕150周年展、京都の旧宅で開催
広辞苑編んだ新村出氏の生誕150周年展、京都で開催

「国民的辞書」とも呼ばれる広辞苑を編んだ言語学者の故・新村出(しんむらいずる)氏(1876~1967年)は、京都を代表する知識人の一人だ。いま、生誕150周年を記念した展覧会が、京都市北区の旧宅「重山(ちょうざん)文庫」で開かれている。貴重な自筆ノートや歴史資料などを一挙に公開し、事績や人となりをたどる。

広辞苑の前身「辞苑」と自筆ノート

新村氏は文化勲章受章者で京都市名誉市民。いまの山口市で生まれ、出身校の東京帝大などで教えた後、30代で京都帝大の教授となり京都に移り住んだ。

編纂(へんさん)に携わり、戦前に刊行された「辞苑」(博文館)は、広辞苑の前身となった。戦後の1955年に誕生した広辞苑(岩波書店)は、新村氏の永眠後も版を重ね、2018年には第7版が出た。記念展では広辞苑の各版各刷を見ることができる。

1400冊の自筆ノートと徳川慶喜の書

1400冊におよぶ自筆ノートの一部も公開している。見学者が手にとって読めるようにしているのが特徴だ。

その一つ、「笑止考 馬鹿考」をめくると、馬鹿という言葉の意味や、関連することわざなどがひしめく。孫の新村恭さん=新村出記念財団嘱託=は、「言葉についてこれだけ自ら調べて書いているというのはなかなかない」と言う。

生い立ちが浮かぶ展示も。江戸幕府最後の将軍・徳川慶喜の書「誠」が初公開されている。

新村氏は山口県令も務めた父を事故で亡くし、慶喜の側近だった新村猛雄氏の養子になった。慶喜の書は旧宅で見つかったもので、幕臣・勝海舟による和歌の軸もある。

高峰秀子コーナーと開催概要

俳優の故・高峰秀子氏のコーナーも目をひく。1963年の朝日新聞は、新村出氏を「高峰秀子の大のファン」と紹介。高峰氏からおくられたかわいい帽子も展示した。研究者だけではない新村氏の一面も見どころだ。

記念展は18日までの金・土・日曜日午前10時から午後4時まで。記念の絵はがき3枚セット付きで中学生以上1千円、小学生500円。場所などの詳細はウェブ(https://s-chozan.main.jp/)で。