「モチモチ」を外国語でどう表現?絵本作家が挑むおいしさ翻訳の難しさ
「モチモチ」を外国語でどう表現?絵本作家に聞く

絵本作家のきのとりこさんは、日本語特有のオノマトペ(擬音語・擬態語)を外国語で表現する難しさに挑戦してきた。2019年刊行の絵本『おなかぺこぺこオノマトペ I’m PEKO-PEKO Hungry!』(千倉書房)は、7年近く経った今も増刷を重ねている。きのさんは「おいしさ」を伝える言葉として、特に「モチモチ」の多様性を挙げる。

「モチモチ」の多様なニュアンス

「チョコやドーナツなど『モチモチ』とその派生系が大流行していますが、ひとくちに『モチモチ』といっても、お餅より粘り気の少ないものから、中にバニラアイスの入っている『雪見だいふく』のやわらさ、一度でかみ切れるか、伸びるかまで――実にいろいろな『モチモチ』があります」と、きのさんは説明する。

日本語では短い独特の言葉で感覚を共有できるオノマトペだが、翻訳が難しい表現だらけだ。きのさんは、自身の作品を海外の出版社に持ち込むため、フランス語やイタリア語を学び、一人で欧州を訪ね歩いた経験を持つ。「旅に出ると、頭の中は『次は何を食べよう』でいっぱいになりますよね。外国人だったら、ラーメンも、おすしも、天ぷらも、日本で経験することの中でも、とても大切でしょう。痛感するのが、『おいしさ』を外国語で伝えることの難しさです」と語る。

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絵本で挑む翻訳の壁

絵本では、日本語と英語の文章をきのさん自身が書き、絵も描くことで、この難題に取り組んだ。例えば「ぺこぺこ」は英語で「PEKO-PEKO」とそのまま表記し、文脈で意味が伝わるように工夫している。きのさんは「おいしさは食感や見た目、味を含めた総合的な体験。それを外国語で伝えるには、言葉だけでなく絵や状況描写も重要です」と強調する。

編集を担当した千倉書房の千倉真理さんも、「この絵本は、日本語のオノマトペの豊かさを再発見するきっかけになると同時に、異文化間のコミュニケーションの難しさと面白さを教えてくれる」と評価する。

今後の展開と課題

きのさんは今後も、オノマトペをテーマにした作品を国際的に展開したい考えだ。「日本語には『もちもち』『ふわふわ』『しゃきしゃき』など、食感を表す言葉が無数にある。それらをどう翻訳するかは、単なる言語の問題ではなく、文化の違いをどう橋渡しするかという挑戦です」と述べている。

『おなかぺこぺこオノマトペ』は、日本語版・英語版ともに好評で、海外の出版社からも関心が寄せられている。きのさんの取り組みは、日本食の魅力を世界に伝える一助となることが期待される。

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