NTTドコモは2025年3月より、スマートフォンが直接衛星と通信できる「衛星モバイル通信サービス」を開始すると発表した。このサービスは、米ASTスペースモバイル社が運用する低軌道衛星「BlueWalker 3」を活用し、従来の携帯電話基地局が届かない山間部や海上、災害時でも通話やデータ通信を可能にする。
サービス開始の背景と仕組み
これまで衛星電話は専用端末が必要で、高額な料金がネックだった。ドコモはASTスペースモバイルとの提携により、一般的なスマートフォンで利用できる衛星通信サービスを実現。衛星は地上約500kmの低軌道を周回し、基地局の役割を果たす。周波数帯は携帯電話と同じ帯域を使用するため、端末に特別な改造は不要で、対応するスマートフォンがあればそのまま使える。
ドコモの発表によると、サービス開始時点ではテキストメッセージ(SMS)と位置情報の送信からスタートし、順次音声通話やデータ通信に対応する予定。2025年中には全国の山岳地帯や離島、海上など、カバレッジエリアを拡大する計画だ。
料金と対応端末
料金は月額980円(税込)からで、通話やデータ通信は別途従量課金となる。対応端末は2025年3月時点で一部のAndroidスマートフォン(例:Google Pixel 9シリーズ、サムスンGalaxy S25シリーズ)を予定しており、順次機種を拡大。iPhoneについては現時点で未対応だが、今後の対応を検討中としている。
ドコモの担当者は「このサービスにより、携帯電話の圏外エラーに悩まされることなく、どこでも安心して通信できる環境を提供します。特に登山や釣り、災害時の連絡手段として大きな価値があります」とコメントしている。
競合との比較と今後の展望
衛星モバイル通信サービスは、米SpaceXのStarlinkや米Globalstarなどが競合となる。Starlinkは専用端末が必要で、GlobalstarはiPhone 14以降の衛星SOS機能で知られる。ドコモのサービスは、既存のスマートフォンをそのまま使える点で差別化を図る。
また、ドコモは2026年までに数百機の衛星を打ち上げ、日本全土をカバーする計画。災害時の通信インフラとしても期待が高く、総務省も「新たなユニバーサルサービス」として注目している。



