近畿日本鉄道・宇治山田駅は、外宮(伊勢市駅)と内宮(五十鈴川駅)の間に位置しながら、観光客と地元住民の双方に利用されるユニークな駅だ。山本一史駅長と伊藤直光助役の案内で、普段は入れない「火の見櫓」付き駅舎の内部や、駅の意外な役割が明らかになった。
火の見櫓への階段と4階の秘密
宇治山田駅の駅舎には、かつて消防本部の詰所があった南端部分に、高さ約15メートルの火の見櫓が設置されている。関係者以外立ち入れない4階部分には、急な階段が天井へと伸びており、実際に火の見櫓へ上がることができる。山本駅長は「昔は駅員が交代で見張りをしていたが、現在は使用されていない」と説明する。この塔は駅舎の象徴的な存在で、写真撮影に訪れる観光客も多い。
観光と地元利用の二面性
一般的に伊勢参拝の定番ルートは「伊勢市駅→徒歩で外宮→バスで内宮→五十鈴川駅」だが、宇治山田駅は帰りに立ち寄る観光客でにぎわう。1階には伊勢名物「赤福」の売り場やファミリーマートがあり、駅舎自体が旅の思い出となるスポットだ。一方、山本駅長と伊藤助役によると「伊勢市駅は通勤、宇治山田駅は通学で地元の方の利用が多いのが特徴」という。駅東側には県立の伊勢高校、伊勢工業高校、宇治山田商業高校のほか、私立の伊勢学園高校、皇学館高校、皇学館大学があり、ターンテーブル真下のスペースは学生用の自転車置き場として活用されている。
レストラン列車「レ・サヴール志摩」と式年遷宮
2026年11月1日には、近鉄名古屋―賢島間を走るレストラン列車「Les Saveurs(レ・サヴール)志摩」がデビューする。20年に一度の式年遷宮は、これまでも「伊勢志摩ライナー」「しまかぜ」といった新型特急車両の導入など、近鉄のサービス強化の契機となってきた。宇治山田駅は何度も式年遷宮を経験し、伊勢志摩エリアの拠点駅としての役割を今も果たしている。



