総務省会議、ホッピング対策でポイント分割提供案を採用
携帯電話業界で深刻化する「ホッピング」問題への対策として、総務省の有識者会議「利用者視点を踏まえたモバイル市場の検証に関する専門委員会」は、新規契約者向けのポイント還元などの特典を1年間に分割提供できるよう規制を緩和する方針を固めた。この案は、同会議で提示された3つの選択肢の中で最も競争環境への影響が小さいと判断された。
ホッピング問題の背景と3つの対策案
ホッピングとは、新規契約時に得られるポイント還元やキャッシュバックなどの特典を受け取った後、すぐに解約して他社に乗り換える行為を繰り返すことで利益を得る行為。電気通信事業法の厳しい規制により、大手携帯電話会社は自主的な対策が難しく、業界全体の損失が拡大していた。
同委員会では、2024年末から議論を重ね、3つの対策案が提示された。第1案は、特典の分割提供を認める規制緩和。第2案は、解約時の違約金上限(現在は税別1,000円または月額料金1カ月分の安い方)の引き上げ。第3案は、新規契約者への利益提供上限(税別2万円)の引き下げだった。
お試し割の失敗が規制緩和を後押し
総務省は2024年末、試験的に「お試し割」として、1人1回限り、税別最大2万円の利益を最大6カ月間分割提供することを認めたが、携帯各社からは「分割期間が短く、短期解約につながりやすい」として活用されなかった。この経験から、より長期の分割提供が求められるようになった。
委員会では、違約金引き上げ案は「直接的に競争を制限する」との反対意見が多数。利益提供上限引き下げ案は、健全な顧客獲得競争にも悪影響を及ぼすとの懸念が出た。結果として、最も競争阻害性が低い第1案が採用された。
分割期間は1年以内、法的拘束力は低い見通し
分割期間については、2年を超える拘束プランは法律で禁止されており、お試し割の6カ月ではホッピング防止効果が不十分との意見から、1年以内の継続契約を条件とする案が有力となった。この方針は、委員会の取りまとめ案に盛り込まれ、近く正式決定される見通し。その後、電気通信事業法のガイドライン改正が行われるとみられる。
なお、お試し割は今回の規制緩和により役割を終え、消滅する可能性が高い。専門家は「ホッピング行為は減少するだろうが、過去の転売目的の大幅値引き問題と同様、新たな抜け道が生まれる可能性もある。根本的な解決には、複雑化した電気通信事業法の抜本見直しが必要だ」と指摘している。



