東洋経済オンラインのInstagramアカウントが、月間リーチ(投稿を閲覧したユニークユーザー数)1億超えを達成した。2023年12月時点でフォロワー数は約45万人、月間リーチは約1億2000万に達する。この成功の背景には、独自の画像カルチャーと編集部全体の協力体制、そして緻密なデータ分析に基づく運用戦略がある。
画像カルチャーが生む高いエンゲージメント
東洋経済のInstagramは、いわゆる「映え」写真ではなく、経済メディアらしい知的でスタイリッシュな画像が特徴だ。グラフやチャート、インタビュー記事の一節をデザインした投稿は、リーチあたりのエンゲージメント率が平均で3〜5%と、ニュースメディアの平均(1〜2%)を大きく上回る。運用担当者は「経済情報を視覚的に伝えることで、フォロワーの知的好奇心に訴えかけている」と語る。
この画像カルチャーは、東洋経済が長年培ってきた雑誌デザインのノウハウを継承している。写真やイラスト、フォントの選び方に至るまで、一貫したブランドイメージを保つことで、フォロワーからの信頼を獲得している。
編集部全体の協力体制
Instagram運用は、ソーシャルメディア担当者だけでなく、編集部全体の協力によって成り立っている。記事を執筆した記者が自ら画像案を提案したり、写真部が取材先でInstagram用のカットを撮影したりするなど、部署横断的な取り組みが行われている。また、週1回の編集会議では、Instagramの投稿計画が議題に上がり、記事の内容と連動した投稿スケジュールが組まれる。
この協力体制により、記事の公開から数時間以内にInstagramで補足情報や別角度からの解説を投稿することが可能となり、リアルタイム性の高い情報発信を実現している。
収益化への道筋
東洋経済はInstagramの収益化にも積極的だ。具体的には、以下の3つの手法を採用している。
- ブランドコンテンツ:企業とタイアップし、記事や画像を制作。2023年は年間で約20件のブランドコンテンツを配信した。
- ストーリーズ広告:24時間で消えるストーリーズに広告を掲載。視聴完了率は平均70%と高い。
- ショッピング機能:雑誌や書籍の購入リンクを投稿に直接設置。2023年の売上は前年比150%増となった。
ただし、運用担当者は「収益化はあくまで副次的な目的。メインブランドとしての東洋経済の認知度向上と、読者とのエンゲージメント強化が最優先」と強調する。
今後の展望
東洋経済は今後、Instagramのリール(短尺動画)機能を強化する方針だ。2024年にはリールの投稿本数を月間30本に増やし、より幅広い層へのリーチを目指す。また、AIを活用した画像生成やデータ分析の高度化も検討している。
東洋経済のInstagram運用は、伝統的な経済メディアがデジタル時代にどう適応し、新たな価値を生み出せるかを示す好例と言える。



