サブスクリプション(サブスク)が定着して久しく、月額料金で音楽や映像などのコンテンツにアクセスする消費スタイルが当たり前になった。CDやDVDのショップ、レンタル店は街から姿を消し、「自動更新」の仕組みが広く浸透している。この変化は消費者だけでなく、提供する企業にも大きな影響を与えている。日本の音楽産業はCD販売や国内向けプロモーションに依存してきた成功体験が長く、ストリーミングを前提とした世界展開では韓国などに後れを取っているとの指摘もある。平成時代のヒットメイキングに固執する姿勢が批判されることもある。
サブスクの登場で変化した消費行動
サブスクの定着により、消費構造は大きく変わった。かつて音楽を聴く際はCDやレコードを購入して所有するのが一般的だったが、今は「Spotify」「YouTube Music」「Apple Music」「Amazon Music Prime」などにアクセスし、アクセス権を購入して楽しむスタイルに移行した。この変化により、消費者は「失敗」を避けやすくなった。また、サブスクの大きな特徴は、アルゴリズムによる強力なレコメンド機能だ。自分の好みに合った曲が次々と提示され、自動再生で似た傾向の楽曲が絶え間なく流れる。この消費スタイルは映像コンテンツにも見られ、NetflixやPrime Videoなどで作品を選択せずともレコメンドで視聴が始まる。
ストリーミングによる世界配信の広がり
ストリーミングサービスは国境を越え、世界中のユーザーが同じプラットフォームで音楽にアクセスできる環境を作り出した。これにより、昭和のJ-POPが突然世界中でバズる現象が発生している。例えば、1980年代の楽曲が海外のユーザーに発見され、プレイリストに追加されることで再生回数が急増するケースがある。アルゴリズムはユーザーの過去の再生履歴や類似ユーザーの好みを分析し、予期せぬ楽曲を推薦する。その結果、日本国内では忘れられていた楽曲が海外でヒットすることもある。
昭和のJ-POPが世界でヒット?
昭和のJ-POPが世界でバズる背景には、アルゴリズムのレコメンド機能が大きく関わっている。例えば、松任谷由実や中島みゆきなどの楽曲が海外のユーザーに発見され、SNSで拡散される事例が報告されている。経済ジャーナリストの岩崎博充氏は「アルゴリズムは言語や文化の壁を超え、音楽の普遍的な魅力を引き出す」と指摘する。ただし、日本の音楽産業はこの流れに乗り切れていない面もある。CD販売に依存したビジネスモデルが、ストリーミング時代の国際競争力を弱めている。
選択はますますアルゴリズムに左右される
サブスク時代のヒットは、従来のプロモーションやメディア露出だけでなく、アルゴリズムの推薦によって決まる割合が増えている。ユーザーは自ら積極的に検索しなくても、レコメンド機能によって新しい音楽に出会う。これにより、過去の名曲が再評価されたり、無名のアーティストが突然注目されたりする現象が起きている。一方で、アルゴリズムの偏りやフィルターバブルの問題も指摘されており、多様な音楽が埋もれるリスクもある。日本の音楽産業が世界で競争するためには、ストリーミングを前提としたプロモーション戦略への転換が急務だ。



