「マクド」は関西だけじゃない?東西文化の境界線を地理学で読み解く
「マクド」は関西だけじゃない?東西文化の境界線

同じ日本国内でも、東日本と西日本では文化や習慣に違いがある。京都大学地理学研究会の元会長、重永瞬氏は「東西の境界はフォッサマグナだという説があるが、それは正確ではない」と指摘する。

「マクド」と呼ぶのは近畿・四国の11府県

「今日のお昼、マック行かない?」「マックって何やねん。マクドやろ」――こんな会話を耳にしたことはないだろうか。関東人と関西人の間でよくあるすれ違いだ。関西出身の筆者も、知り合いと同様のやり取りをすることがある。

2016年に日本マクドナルドが実施した社内調査によると、「マクド」という略称が使われているのは近畿7府県と四国4県のみだった(四国4県と滋賀県、三重県では「マック」も併用)。関西だけかと思いきや、四国でも「マクド」が使われており、西日本全体ではないことが分かる。

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京阪式アクセント地域と一致

関西で「マクド」が使われる理由として、アクセントによる仮説がある。関西の若者言葉では、省略語は2拍目にアクセントが来ることが多い。「ミスド」「ファミマ」「ユニバ」といった3拍の省略語は、関西では「低高低」のアクセントで発音される。

言語学者の橋本礼子氏は、「『マック』では京阪式アクセントの『低高低』を当てはめようとすると2拍目が『ッ』となり聞こえない拍となるため、関西地方ではあまり好まれなかったのかもしれない」と推測する。京阪式アクセントは近畿と四国で使用されるため、この説明は「マクド」の分布と一致する。

東西文化の真の境界線

東西の文化境界は、単にフォッサマグナ(糸魚川静岡構造線)で区切れるものではない。重永氏によれば、周波数やポリタンクの使用、お雑煮の餅の形状など、さまざまな要素が「3つの関所」で境界を形成している。そして、東西を分ける本当のラインは「日本アルプス」にあるという。

例えば、動詞「いる」と「おる」の使い分けも東西で異なる。こうした言語・文化の境界は、地形的な障壁と歴史的な交通路によって形成されてきた。

本稿は重永瞬著『新しい日本地理 地図・統計・移動から読み解く』(講談社現代新書)の一部を再編集したものである。

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