日本音楽著作権協会(JASRAC)は、生成AI作品に関するガイドラインを発表した。このガイドラインでは、AIが自律的に生成した楽曲や歌詞など、人間が創作に関与していない作品は著作物に該当せず、JASRACによる管理の対象外となる。
人間の関与がある場合の管理
一方、歌詞または楽曲の一方をAIが生成し、もう一方を人間が創作した場合、人間が創作した部分のみが管理の対象となる。例えば、歌詞がAI生成で楽曲が人間による場合、楽曲のみの利用時は管理率100%、歌詞のみの利用時は0%となる。J-WID(作品データベース)では、人間が創作した部分の所属団体は「JASRAC」、AI制作部分は「AI」と表示される。これは、著作権が切れたパブリックドメイン作品との組み合わせと同様だ。
委託者の保証義務
委託者(JASRACと管理委託契約を結んだクリエイターや音楽出版社)には、作品が人間の創造的関与による著作物であると保証する義務がある。AIが自律的に生成した「著作物ではない」作品を、著作権者を詐称して届け出た場合は保証義務違反となり、委託者に法的責任が生じるとしている。
特別ページと法改正の主張
6月11日には、AI作品に関する特別ページを開設し、ガイドラインを解説。同ページでは、著作権法第30条の4の改正を求めるJASRACの立場も主張する。著作権法第30条の4では、生成AIの開発目的の機械学習なら原則、権利者の許諾なく行えるとされている。JASRACは「権利者の選択の機会の確保」が必要だと主張し、学習素材としての利用でもクリエイターが可否を判断できる機会を求めている。
基本的な考え方
生成AIに関する基本的な考え方も説明。人間の創造性の尊重、AI開発事業者によるフリーライドへの懸念、AI利用に国境がないことを踏まえた国際的な調和の確保、クリエイターの声を聞くことの必要性を掲げている。
関連する動き
生成AIの動画・音声の深化する無断利用の権利侵害を整理するため、法務省は4月17日、肖像や声などの利用を巡る民事責任を整理する検討会を設置することを明らかにした。現行法と判例を踏まえて具体例を検討し、権利侵害の有無や損害賠償請求の範囲などをガイドラインとして示す。
また、JASRACなど音楽関連9団体は「AIに関する音楽団体協議会」を設置すると発表。音楽分野での生成AIの利活用について、提言や検討を行っていくという。



