学歴や偏差値をネタにするユーチューバー「wakatte.TV(ワカッテTV)」の動画が福島大学を揶揄する内容だとして批判が高まり、福島大学の佐野孝治学長が1日、声明を発表した。ユーチューバー側は同日夕方、動画のコメント欄で謝罪し、該当部分の一部を削除した。
動画の内容と批判
問題の動画は8月末に公開されたとみられ、「【入試ラクすぎ?】国公立最下位!?震災復興・放射線研究から驚きの入試事情まで!福島大学キャンパス調査!」というタイトルで、約16分の内容が配信されていた。動画では、出演者が福島大学を「国公立の最下位」などと表現し、学生の学歴を繰り返し「いじる」趣向だった。
特に問題となったのは、2011年の東京電力福島第一原発事故を踏まえた放射性物質の研究が盛んに行われていると学生が語った直後に、出演者が「放射能や原子力は超重要な問題なので、福島大には触らせたくない」と発言したシーン。この内容が学生を嘲笑するものだとして、SNSなどで批判が相次いだ。
学長の声明とユーチューバー側の対応
佐野学長は声明で、「学生及び教育研究活動に関し、配慮を欠くと受け取られかねない発言があった。学生・教職員が、尊厳を傷つけられることがあってはならない」と述べた。1日の取材には、「動画は不適切だと考えている。不愉快な気持ちはあるが、相手にしなくてもいいんじゃないかという気持ちもある。だが、この間、皆さんと作り上げてきた復興知を馬鹿にされたり、汚されたりしたという思いがあり、声明を出した」と説明した。
一方、ワカッテTV側は1日夕方、動画のコメント欄で「東日本大震災や原発事故の被害ならびに福島大学における研究や学びを揶揄する意図は一切ございません」とし、「福島大学で原子力を学ぶ意義や経緯、そして日々研究に取り組む学生の皆様の志に対する配慮が決定的に不足していたと痛感しております」と謝罪。問題視された部分を削除し、テロップを加えた上で再配信した。
福島大学の背景と今後の対応
福島大学は2004年の国立大学法人化まで文系学部のみだったが、その後理工系の学群を新設。原発事故後は環境中の放射性物質の研究や農業復興への貢献が求められ、食農学類や環境放射能研究所などを設置してきた。
佐野学長は、今後ワカッテTV側に抗議したり接触したりする考えはないとしつつ、「大学に入った後も学力はどんどん伸びるので、偏差値で学力や人間性まで測る考え方は教育者としては全く同意できない」と指摘した。
朝日新聞は31日、ワカッテTVに対して動画の意図や批判への受け止めについてメールで質問を送ったが、1日夕時点では回答はないという。



