イーロン・マスク氏が所有するソーシャルメディアプラットフォームX(旧Twitter)で、過激なコンテンツの増加により主要な広告主が離脱し、広告収入が大幅に減少している。2023年の広告収入は前年比で約45%減少し、約25億ドルにとどまる見込みだ。
広告主離れの背景
マスク氏が2022年10月にXを買収して以降、プラットフォーム上でのヘイトスピーチや誤情報の拡散が問題視されてきた。マスク氏自身が過激な発言を繰り返し、モデレーションチームを大幅に削減したことで、状況は悪化。これを受け、多くの大手ブランドが広告出稿を停止した。
マーケティング調査会社のパスカル・ウィンター氏は「Xはブランドセーフティの観点からリスクが高すぎる。多くの広告主は、自社の製品やサービスが過激なコンテンツの隣に表示されることを避けたいと考えている」と指摘する。
具体的な影響
広告収入の減少は深刻で、2023年第3四半期の広告収入は前年同期比で約50%減少。Xは広告以外の収入源としてXプレミアム(旧Twitter Blue)の有料購読を推進しているが、広告収入の減少を補うには至っていない。
また、Xの評価額も下落しており、フィデリティ・インベストメンツの推定では、買収額の約440億ドルから約150億ドルにまで減少したとされる。
マスク氏の対応
マスク氏は広告主離れに対し、広告主への批判を強めている。2023年11月、ニューヨーク・タイムズのディールブック・サミットで、広告主に対して「もし誰かを広告で脅かしたいなら、私が彼らを脅かす」と発言。さらに、X上で広告主を非難する投稿を繰り返している。
しかし、このような姿勢がさらなる広告主離れを招く可能性が高い。広告業界の専門家は「マスク氏の挑発的な態度は、ブランドがXに戻ることをさらに困難にしている」と分析する。
今後の見通し
Xは広告収入の減少に対応するため、広告以外のビジネスモデルを模索している。具体的には、有料購読サービスの拡充や、クリエイターへの収益分配の強化、新たな広告フォーマットの導入などが検討されている。
しかし、専門家は「Xが広告収入の減少を食い止めるのは容易ではない。プラットフォームの信頼性を回復し、ブランドセーフティを確保することが不可欠だ」と指摘する。
一方で、Xのユーザー数は依然として増加傾向にあり、2023年第3四半期の月間アクティブユーザー数は約5億人と、前年同期比で約15%増加している。しかし、広告主の信頼を取り戻さなければ、持続可能なビジネスモデルを構築することは難しい。



