イーロン・マスクが狙う「X」の全貌、買収から1年で見えた野望
イーロン・マスクが狙う「X」の全貌、買収から1年で見えた野望

イーロン・マスク氏がTwitter(現X)を440億ドルで買収してから約1年が経過した。この間、同氏はプラットフォームの名称を「X」に変更し、単なるソーシャルメディアを超えた「スーパーアプリ」への変革を推進している。しかし、その道のりは決して平坦ではない。

買収から1年、Xの現状

2022年10月、マスク氏はTwitter買収を完了。直後から大規模なリストラを断行し、従業員数を約7500人から1500人以下に削減した。また、認証バッジの有料化やAPIの有料化など、収益化に向けた施策を次々と打ち出した。2023年7月には、ブランド名を「X」に刷新。マスク氏は、Xを「あらゆるもののアプリ」と位置づけ、メッセージング、決済、ニュース配信など多機能なプラットフォームを目指すと宣言した。

広告収入の減少とサブスクリプション戦略

買収後、広告主の大量離脱が発生。2023年9月時点で、Xの米国広告収入は前年同月比で約55%減少したと報じられている。これに対し、マスク氏はサブスクリプションサービス「X Premium」(旧Twitter Blue)に注力。月額8ドル(Web版)で認証マークや長文投稿などの特典を提供する。さらに、2023年10月には、新たなサブスクリプション階層の導入を検討中とされ、収益源の多様化を図っている。

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スーパーアプリ化への挑戦

Xは、決済機能の導入を計画。2023年6月には、米国の一部州で送金・決済ライセンスを取得した。マスク氏は、Xを「銀行口座のようなもの」にすると述べ、ユーザー同士の送金や、X内での商品・サービス購入を可能にする構想を示している。また、AI技術の活用も積極的で、生成AI「Grok」の開発を進める。Grokは、Xのデータを活用したリアルタイムの情報提供が特徴で、X Premiumの上位プランで利用可能となる見通しだ。

ユーザー離れとコンテンツモデレーション

一方で、コンテンツモデレーションの緩和がユーザー離れを招いているとの指摘もある。マスク氏は「言論の自由」を掲げ、多くのアカウントを復活させたが、ヘイトスピーチや偽情報の拡散が増加。2023年9月、欧州連合(EU)はXに対して、違法コンテンツへの対応が不十分として正式な調査を開始した。これに対し、Xは「透明性の向上に取り組んでいる」とコメントしている。

今後の展望と課題

マスク氏は、Xの評価額を買収時の440億ドルから大きく引き下げ、2023年3月時点で約200億ドルと評価。しかし、同氏は長期的な成長に自信を見せており、2024年には黒字化を目指すとしている。アナリストからは「スーパーアプリ化は可能だが、規制や競合との戦いが課題」との声が上がる。マスク氏の野望は、Xを単なるSNSから、日常生活の中心となるプラットフォームへと進化させることだ。その成否は、今後の機能拡充とユーザー獲得にかかっている。

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