サウジアラビアが2034年FIFAワールドカップの開催権を独占的に獲得した背景には、FIFA会長との特別な関係や異例のプロセス、そして巨額のオイルマネーが絡んでいた。競合国が現れない中、サウジはFIFAの「同盟国」としての地位を確立しつつある。
異例の前倒しプロセス
FIFAは2034年W杯の開催国決定プロセスを約3年も前倒しし、立候補の意思表明を25日以内に行うよう求めた。通常、政府承認が必要な立候補準備には数カ月から年単位の時間がかかる。この異例の短期間に対応できたのは、すでに準備が整っていたサウジアラビアだけだった。競合相手がいなければ、国の評判が悪くても問題はない。
サウジの露骨な恩返し
2023年12月、FIFA評議会は2034年W杯のサウジアラビア開催を決定した。正式決定はその1年後のFIFA総会で行われる。この決定プロセスがあまりにもサウジに都合が良かったため、多くのメディアが疑問を呈し、「2030年W杯を3+3大陸開催にしたのは、サウジに2034年W杯を与えるためではないか」との憶測も流れた。しかし、それはあくまで噂にすぎない。サウジアラビアは他者の目を気にせず、露骨な「恩返し」を開始した。
2024年4月、サウジアラビア国営石油会社「サウジアラムコ」がFIFAとパートナー契約を締結し、2026年W杯や2027年女子W杯などの主要大会の公式スポンサーとなった。さらに2025年6月には、サウジアラビアの公的投資基金(PIF)がクラブW杯のパートナーに加わった。もはやサウジアラビアはFIFAの「同盟国」と言える。
オイルマネーが動かすFIFA
サウジアラビアのオイルマネーは、ついにFIFAすら動かす力を持つようになった。サッカー地政学はまったく新しい時代に突入したと言える。FIFA会長との特別な関係も、このプロセスを後押ししたとされる。サウジアラビアはクリスティアーノ・ロナウドをはじめとする世界的スター選手を獲得し、サッカー界での存在感を高めてきた。今回のW杯開催権獲得は、その集大成とも言える。
今後の影響
サウジアラビアのW杯開催が決定したことで、今後の国際サッカー界におけるサウジの影響力はさらに強まると見られる。オイルマネーを背景にしたFIFAとの関係強化は、他の開催国選定プロセスにも影響を与える可能性がある。サッカーと政治・経済の結びつきがますます深まる中、サウジアラビアの動向から目が離せない。



