会話が下手な人ほど無意識に使っている、自分の評価をみるみる下げる「残念なひと言」がある。その典型が、副詞を重ねて自分の優秀さを強調する表現だ。このような話し方をすると、その分野で成果を出しても「できて当然」と見なされ、失敗したときには一気に評価を落とすことになる。
副詞を排除し、数字で伝える
まずは副詞を取り除いてみよう。「私が報告を担当します」「私が結婚式の司会を務めます」「私がデザインを担当します」といった表現は、先ほどの例よりずっとすっきりしていて、伝えたいことも明確だ。
とはいえ、どこか2%ほど物足りない印象も残る。しかも、副詞を取り除いたからといって、ここまで率直に自分の実力を口にできる人は決して多くない。自分の得意なことを話すと、まるで自慢しているように見られるのではないか、と感じるからだ。本来はまったく別の表現であるにもかかわらず、その思い込みを崩すのは意外と難しい。
そんなときに有効なのが、正確な数字で伝えるという方法である。「私は12年間、報告業務を担当してきました」「結婚式の司会は、20代のころからこれまでに80回以上経験しています」「デザイン専攻で、実務経験は約8年になります」といった具合だ。
副詞を排除することで表現は洗練され、さらに具体的な数値が加わることで、信頼性も格段に高まる。このように、自分の能力を伝える際は、派手な言葉で飾るよりも、事実と実績を淡々と提示するほうが、はるかに効果的である。
会話にもオウンゴールがある
サッカーの試合で、応援しているチームが決定的な場面でオウンゴールをしてしまったら、どう感じるだろうか。戸惑いと失望は計り知れない。勝てる試合だったなら、なおさらだ。こうした事態は頻繁には起こらない。
しかし実は、多くの人が日常会話の中で同じような"オウンゴール"をしている。自分が使う言葉によってだ。これを、アメリカのメディア戦略家フランク・ランツ(Frank Luntz)は"言語の自殺(Language Suicide)"と表現した。自ら不利になるようなネガティブなニュアンスで話したり、自分の弱みをわざわざ持ち出して、自分自身を不利な立場に追い込んだりすることを指す。
具体例とラベリング効果
いくつかの例を通して、私たちがどんな失敗をしているのか見ていこう。
- ①「実は私、気が小さいんです」
- ②「昨日ちょっと飲みすぎまして……」
どうだろうか。どちらも、特別めずらしい言葉ではない。自分でも言ってしまいそうだし、誰かが話しているのを耳にすることもあるだろう。だが、どんな場面であれ、こうした言葉を口にした瞬間、相手はあなたが何をしても「気が小さい人」「飲みすぎる人」として見てしまう。つまり、好意的な目で見てもらうことは難しくなる。
この現象を心理学では「ラベリング効果」と呼ぶ。特定の期待や予測が、その人の行動に影響を与え、結果としてその予測どおりの現実が生まれていくことを意味する。



