こども家庭庁の作業部会は6月、子どものSNS利用をめぐり、事業者に対してユーザーの年齢確認について「より実効性のある手法」を求める方針を盛り込んだ中間整理の骨子案を示した。海外で相次ぐ年齢による一律規制は見送られた形だが、子どもたちにSNSとの適切な付き合い方を啓発する富山大の山田正明准教授(内科医・社会医学)は、海外の動きを「医学的に妥当」と評価する。
海外のSNS規制と日本の現状
EUはインスタグラムの中毒性を「違法」と指摘し、「無限スクロール」の無効化を要求している。こうした16歳未満のSNS利用を規制する海外の動きについて、山田准教授は「SNSは単に楽しいだけでなく、依存させる仕組みが組み込まれている。脳が未発達な青少年への利用規制は医学的に妥当だ」と述べる。
一方、日本の行政は利用規制に慎重な姿勢だ。山田准教授は「海外では青少年の自殺や拒食症、うつ病といった被害が社会問題化しているが、日本ではいじめ以外はあまり問題になっていない。これは日本の青少年が免疫を持っているというより、被害が明るみに出る文化がなかったり、メディアが取り上げる機会が少なかったりするだけかもしれない」と指摘する。
スマホ依存のメカニズム
山田准教授は、子どもたちにスマホやSNSについて「長時間利用すると依存症に陥る」と伝えている。「最初は楽しむために使っていたが、次第に使わないと不快感や不安感を持つようになり、その感情から逃げるために使い続ける。そうして生活に支障をきたす状態が依存症だ」と説明する。
SNSのどのような特徴が依存を引き起こすのか。山田准教授は「SNSには人の怒りや驚きを引き出す仕組みがあり、それが脳を刺激してやめられなくなる」と語る。特に「いいね」や通知機能はドーパミンを分泌させ、報酬系を刺激する。
予防と対策
スマホ依存を防ぐためには、使用時間のルール作りが重要だ。山田准教授は「親子で話し合い、1日の使用時間を決めること。また、寝室にスマホを持ち込まない、食事中は触らないなどのルールを設けると効果的」とアドバイスする。さらに、SNS事業者に対しても「年齢確認の強化や、依存を誘発するデザインの見直しが求められる」と訴える。
日本ではまだ規制が進んでいないが、山田准教授は「子どもの脳の発達を考慮すれば、海外のような規制は検討に値する。ただし、単に禁止するだけではなく、リテラシー教育も同時に進める必要がある」と話す。



