ソニーは5月13日、フラッグシップスマートフォンの新作「Xperia 1 VIII」を発表した。一方、28日にはシャオミ・ジャパンが「Xiaomi 17T Pro」および「Xiaomi 17T」を発表した。両社の記者向け説明会に参加し、実機に触れてきた。
説明会でコンセプトを語るソニーイメージングコミュニケーション事業部長の大塚康治氏。Xiaomiの2製品は、その上に「Xiaomi 17 Ultra」があるためフラッグシップではないが、十分上位モデルとして通用するスペックである。ソニーのXperia 1 VIIIが実勢価格23万6000円前後なのに対し、Xiaomi 17T Proは11万9800円、Xiaomi 17Tは8万9980円と、10万円前後に抑えてきた。
「フルサイズ並み」に挑戦したXperia
「Xperia 1」は同社のフラッグシップシリーズであり、下位モデルには「Xperia 5」「Xperia 10」があった。しかし現在「5」シリーズは2024年に新モデルの投入を見送って以降、事実上の終売となっている。よって現在は「1」のすぐ下は、ミドルレンジの「10」があるのみと、間がすっぽり空いた状態になっている。
Xperia 1 VIIIが目指すのは、「好きを極めたい人々に想像を超えたエクスペリエンスを届ける」ことである。このため、カメラ、ディスプレイ、サウンドといったソニーのリソースを集約してスマートフォンの中に再構成した。
特に力を入れてデモされていたのが、望遠側のカメラ性能だ。望遠用イメージセンサーを前機種比約4倍の1/1.56インチへ大型化し、焦点距離も35mm換算で70mmとした。さらにセンサークロップにより、2倍の140mmの画角も提供する。
「フルサイズ並み」と強調されたのが、望遠の暗所撮影性能だ。実際にセンサーサイズはフルサイズではないが、撮影直後のRAWの状態で重ね合わせ処理を行うことで、確実性のあるノイズ低減を実現した。またボケモードでは、ボケの境界認識を高精度化することで、より自然なボケが得られるようになった。これらを以て、「フルサイズ並み」というわけだ。
暗所撮影のクオリティを前モデルと比較
スマートフォンのカメラトレンドは、メインカメラの広角化と高解像度化競争が一段落し、望遠性能へシフトしているのは明らかだ。とはいえ、実際にはその焦点距離の単位は非常に曖昧なのが気になる。
35mm換算値が一つの基準にはなるが、多くの人は何ミリと言われてもピンと来ない。そこで「メインカメラに対して何倍か」に注目する。とはいえ、メインカメラの焦点距離も機種によってバラバラなので、バラバラの基準から何倍という基準もまた、結果がバラバラである。
それを考慮してか、Xperiaではカメラ上の表示としては何倍という表記はあるが、仕様表などには何倍という表記はなく、可能な限り35mm換算値を用いているあたりは、好感が持てる。
レンズも、全てのレンズにZEISS T*コーティングが施されているが、それはあまり言及されていない。レンズ自体は自社製と考えていいだろう。
それよりも注目したいのが、3眼すべてが自社製センサーであるということだ。具体的にはメインカメラのみExmor T、超広角と望遠はExmor RSで、今回は望遠センサーを新規開発という事になる。
3カメラのセンサーが自社製
スマホ用センサーはほぼソニーと韓国のSamsung(サムスン)で二分されており、Xperia 1の以前のモデルでは、望遠側にサムスンのセンサーを採用したものも存在した。今回はインカメラのセンサーに言及がなかったので分からないが、アウト側のカメラは全て自社製センサーというところも、αシリーズと同じアドバンテージとなる。
ただこのアドバンテージは、ユーザーが勝手に感じてくれる分にはありがたいが、ソニーとしては言いにくいところだろう。あんまり自社製だからうんぬんというところを強調すると、センサーの外販がやりにくくなる。今のソニーは、Xperiaの販売よりイメージセンサー外販のほうが遥かに大きなビジネスになっている。つまり「看板としてのフラッグシップは作るが、実質的には無理」という立ち位置である。
「ライカ共同開発」で押すXiaomi
一方のXiaomiは、製品戦略が明確だ。Xiaomi 17T Proと17Tは、ドイツのライカと共同開発したカメラシステムを搭載。特に望遠カメラには、35mm換算で120mm相当のペリスコープレンズを採用し、光学5倍ズームを実現。ソニーのXperia 1 VIIIが70mm(クロップで140mm)であるのに対し、より長い焦点距離をカバーする。
Xiaomi 17T Proのメインカメラは、50メガピクセルの1/1.28インチセンサーで、ライカの「Summilux」レンズを搭載。絞りはF1.6と明るく、暗所撮影にも強い。また、AIカメラアシスタント機能を強化し、シーンに応じた最適な設定を自動で提案する。
価格はXiaomi 17T Proが11万9800円、Xiaomi 17Tが8万9980円と、Xperia 1 VIIIの半額以下。この価格差は、センサーの自社開発やブランド力の違いもあるが、Xiaomiのビジネスモデルやマーケティング戦略の違いが大きい。Xiaomiはオンライン販売を中心に販売コストを抑え、ライカとの協業でブランド価値を高めている。
両社のスマートフォン戦略は対照的で、ソニーは「最高の体験」を追求し、シャオミは「高いコストパフォーマンス」を重視する。ユーザーは自分のニーズに合わせて選択できる時代が続く。



