ハイエンドモデルとして生まれ変わったAQUOS R11
シャープは2026年7月9日、スマートフォン「AQUOS R11」を発売した。これまでのAQUOS Rシリーズは、一般的なハイエンドのやや下を狙い、コストパフォーマンスを重視したモデルだった。一方、AQUOS R11はスペックを大幅に充実させた“正真正銘のハイエンド”として位置付ける。メモリーやストレージの高騰もあって価格は上がったが、そもそも機種のポジション自体が従来と異なる。
背景には、シャープがスマホ事業のポートフォリオをシフトさせていることがある。従来はAQUOS wishシリーズなどのローエンドモデルが中心だったが、AQUOS senseやAQUOS Rをより充実させ、ミドルレンジ以上の比重を高めていくという戦略だ。
プロセッサはQualcommの「Snapdragon 8s Gen 4」を搭載。カメラは望遠を含む3眼構成となり、3眼すべてライカ監修だ。ディスプレイは前回よりかなり大型化し、明るさは3000ニトから3600ニトへ向上。デザインも一層洗練されている。
“ちゃんといいハイエンド”への方向転換
開発を担当した通信事業本部 パーソナル通信事業部 商品企画部長の武水流航氏は「せっかく買うなら“ちゃんといいハイエンド”にと、考え方をシフトしました」と話す。半導体の価格高騰や円安で業界全体の端末が高価格化する中、ハイエンドモデルならではの付加価値を高める狙いがある。
独自の着眼点として挙げるのが、AIと「アカリウム」だ。AIは「アシスト」をコンセプトに、誰でも簡単に使えることを重視。カメラには、従来と同じ使い方で効果を実感できる機能を織り込んだ。アカリウムはカメラ部分のライトバーを使った機能で、焚き火や水の音とともにリラックスできる空間を演出する。同時に発売した「からだメイト Watch」と同じウェルビーイングの考え方に基づく。
通信事業本部長の中嶋優季氏は、発表会で紹介されなかった機能として「ホーム・デコ」を挙げる。これはホーム画面をカスタマイズする機能で、推し活に基づいたコンテンツで画面を埋め尽くすこともできる。アイコンの邪魔をせずに作れるのが特徴だ。
既存ユーザーの信頼に応える戦略
製品名が「AQUOS R」のままであることについて、中嶋氏は「店頭やWebなどでのお客さま接点で、いかに性能が上がっているかを訴求していくことが求められます」と説明。Proのような名称を付ける可能性については、「Proが付くモデルは、どこかシャープらしい技術とコンセプトが融合した最高級モデルとして温めていきたい」と話し、価格帯ではなくコンセプトに付ける名前だとした。
この戦略は、メモリーやSSDの価格が高騰する前に決めていたという。メモリー問題が顕在化したのは2025年10月ごろで、AQUOS R11のプランニングは2025年上期。途中で路線変更はしていない。価格は当初の想定より上がったが、もともと高いスペックを目指していた。
中嶋氏は「今のAQUOSには700万のユーザー基盤があります」と話す。リテンション率は低くなく、特にAQUOS senseやAQUOS Rのユーザーはロイヤリティーが高い。そうした既存ユーザーの信頼に応えていくことが、中級価格帯へアプローチする戦略につながった。単純に同じ製品の価格が上がったわけではないことを伝え、市場の反響をプロモーションにフィードバックしていく考えだ。



