FCNTは8月18日、新型スマートフォン「arrows Alpha2」のオープン市場向けモデル(SIMロックフリー版)を発表した。先行発表済みのNTTドコモ向けモデルとともに、8月27日に発売される。
価格とメモリ構成
オープン市場版の想定価格は、8GBメモリ+256GBストレージ構成が9万4000円、12GBメモリ+512GBストレージ構成が11万8800円。先代の「arrows Alpha」と比べると、ある程度の割高感は否めない。
しかし、8月18日に行われた発表会での担当者の話を総合すると、これでも価格は「抑えられた」上に、機能改善も図られたという。どのような工夫をしたのだろうか。
先代モデルの成功
arrows Alphaは「手の届くハイエンド」をキーワードに、ハイエンドモデルの価値を10万円未満の価格で実現することを目標に開発された。SoCはミドルレンジの上位モデルながら、アウトカメラを高スペックにするなど、要所でハイエンド部材を使っていることが特徴だ。
MM総研の調査によると、2025年7月から2026年6月の期間に、販売価格が8万円以上のオープン市場向けスマートフォンで販売台数が1位となった。また、FCNTの購入者アンケートでは、7万円未満のスマホからの乗り換えと7万円以上のスマホからの乗り換えの比率が半々だったという。
arrows以外のスマホからの買い替え(買い増し)が6割に達し、arrowsユーザー層の拡大にも貢献したとみられる。購入後のユーザーアンケートでも満足度は高めで、ITmedia Mobileの「スマートフォン・オブ・ザ・イヤー 2025」のハイエンド部門で第2位となった。
メモリ価格高騰への対応
arrows Alpha2の開発では、メモリ価格の高騰が大きな課題だった。データセンターでのAI処理需要の高まりを受け、メモリメーカーはサーバー向けメモリの生産を重視するようになり、PCやスマートフォン向けのDRAM・NANDメモリの価格も値上がり傾向が続いている。
FCNTはLenovoグループの企業で、メモリを含む部材調達ではグループのスケールメリットを生かせるはずだが、それでもメモリ価格高騰の影響は避けられなかったようだ。FCNTではメモリ価格の高騰した現状を「AI時代の『ニューノーマル』」と捉える一方で、「危機感を覚えている」とする。AIは誰もが恩恵を受けられるテクノロジーであるべきなのに、AIを活用するスマートフォンの価格は今後も上昇していくと考えられるという、ある種の矛盾した状態だ。
FCNTとしては、これが「新たなデジタルデバイド」につながりうると危機感を抱いている。だからこそ、arrows Alphaで掲げた「手の届きやすいハイエンド」という方向性が重要性を増したという。
メモリ価格の高騰で、AIに触れるインタフェースたるスマホの価格も高騰している中、「手に届きやすいハイエンド」への挑戦は重要だとFCNTは語る。
価格を抑えるための選択肢
メモリ価格の高騰は想定以上で、arrows Alpha2の構想を根底から揺るがすほどだった。FCNTが販売価格を抑えるために検討した選択肢は以下の通りだ。
- 現行モデルからスペックを下げる
- 現行モデルから機能を削る
- 現行モデルを継続販売する
ただし、3つ目の「現行モデルの継続販売」を選んだとしても、追加生産の際には部材調達が必要で、従来の価格を維持することは困難な状況だった。部材の中でもメモリの価格高騰は非常に激しく、現行モデルの継続販売を選んでも価格の維持は困難(値上げは不可避)という状況だった。



