福岡市は、保育士の業務負担を軽減するため、人工知能(AI)を活用したシステムの実証実験を2026年度から開始する方針を固めた。保育士の日誌作成やシフト管理、保護者との連絡業務などをAIが自動化し、残業時間の削減や保育の質向上につなげる狙いだ。
実証実験の概要
実証実験は、福岡市内の公立保育所数カ所で実施される予定。AIシステムは、音声認識技術を使って保育士が口述した内容を自動で日誌に変換する機能や、過去のデータを基に最適なシフトを提案する機能などを搭載する。また、保護者からの問い合わせに対応するチャットボット機能も試験的に導入する。
福岡市こども未来局の担当者は「保育士の事務作業は多く、残業が常態化している。AIで業務を効率化し、子どもと向き合う時間を増やしたい」と話す。
背景と課題
全国的に保育士不足が深刻化する中、福岡市でも保育士の確保が課題となっている。福岡市の調査によると、2025年度の保育士の有効求人倍率は2.5倍と、全職種平均の1.2倍を大きく上回る。また、保育士の平均残業時間は月20時間を超え、業務負担の軽減が急務となっている。
福岡市は2024年度にAI導入に向けた基礎調査を実施し、2025年度にシステムの仕様を決定。2026年度の実証実験を経て、2027年度以降の本格導入を目指す。実証実験の費用は約5000万円を見込んでいる。
他都市の事例
AIを活用した保育業務の効率化は、他の自治体でも進んでいる。東京都世田谷区は2024年度から、AIによる日誌自動作成システムを導入し、保育士の事務作業時間を1日あたり平均30分削減した。福岡市はこうした先行事例を参考に、システムの効果を検証する方針だ。
一方で、個人情報保護の観点から、AIが扱うデータの管理には細心の注意が必要だ。福岡市は、システムのセキュリティを徹底し、保護者や子どもの情報が外部に漏れないよう対策を講じるとしている。
今後の展望
実証実験の結果を踏まえ、福岡市は2027年度以降、市内の全公立保育所へのAIシステム導入を検討する。また、私立保育所への導入支援も視野に入れている。市の担当者は「AIはあくまで補助的なツール。保育士の専門性や人間的な温かみを損なわない形で活用したい」と述べている。



