日本の電気自動車(EV)市場で、中国メーカーが存在感を急速に高めている。2024年の新車販売全体が低迷する中、EV販売も前年比25%減の約8万台にとどまる見通しだが、中国勢は低価格帯を中心にシェアを拡大。特に、比亜迪(BYD)や上海汽車集団(SAIC)などのメーカーが、テスラの牙城を崩しつつある。
中国勢の低価格攻勢がテスラを直撃
日本自動車販売協会連合会のデータによると、2024年1月から10月までのEV販売台数は約6万5000台で、前年同期比で22%減少。一方、中国ブランドの販売は同期間で約1万2000台と、前年の3倍に急増した。特に、BYDの「ATTO 3」は価格を350万円台に抑え、補助金を活用すれば実質300万円を切る水準となり、テスラ「モデル3」(約530万円)との価格差が大きな武器となっている。
日本市場の特殊性と中国勢の適応戦略
日本のEV市場は、充電インフラの不足やハイブリッド車(HV)への根強い人気から、世界主要国に比べて普及が遅れている。2023年のEV販売比率は約2%と、欧州の20%超や中国の25%に遠く及ばない。こうした中、中国勢は軽自動車規格の小型EVや、コンパクトなSUVを投入し、日本の道路事情や駐車場の狭さに合わせた戦略を取る。SAICの子会社であるMGモーターは、2025年に軽EVを投入する計画を発表した。
テスラの苦戦と日本メーカーの対応
テスラは日本市場で2023年に約1万8000台を販売したが、2024年は中国勢の台頭やモデルチェンジの遅れから、販売が鈍化。同社は2025年に低価格モデル「モデル2」を日本投入する計画だが、中国勢に先手を打たれている。一方、トヨタや日産などの日本メーカーは、EVへの本格転換に慎重で、HVやプラグインハイブリッド(PHV)に注力。トヨタは2026年に次世代EVを投入する方針だが、中国勢の猛追に焦りも見える。
補助金制度の見直しと今後の展望
経済産業省は2025年度から、EV購入補助金の対象を価格帯で区分し、低価格車への補助を手厚くする方針。これにより、中国勢の低価格EVがさらに優位に立つ可能性がある。一方、テスラや日本メーカーは高価格帯のプレミアムEVに活路を見出す。市場関係者は「日本でも2025年以降、EV価格競争が本格化し、中国勢のシェアが10%を超える可能性がある」と指摘する。



