前方後円墳の形はなぜ鍵穴?最新研究が解明した合理的な2つの理由
前方後円墳の形はなぜ鍵穴?最新研究が解明

日本人にとって最も馴染み深い古墳の形状といえば、前方後円墳である。あの鍵穴のような独特な形は、なぜ採用されたのか。駒澤大学名誉教授の瀧音能之氏の著書『最新考古学が解き明かす 空白の4世紀』から、最新研究が解き明かした2つの合理的な理由を紹介する。

所属グループを明確化する合理的な形状

前方後円墳は英語で「Keyhole Shaped Tombs(鍵穴式古墳)」と呼ばれるが、その形状は上空からしか確認できない。この特殊な形状については、これまで多くの説が提唱されてきたが、決定的な説明はなされていなかった。

一説には、それまで存在した陸橋付き円形周溝墓から「ハシ」の重要性が高まり、前方部が発展した可能性が指摘されている。しかし、単なる祭祀施設の役割であれば、よりシンプルな形状でも十分であり、この説だけでは説明が不十分である。

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前方後円形は中国王朝には見られず、朝鮮半島でも5世紀以降に日本から移住した倭人が多く住んだ南西部にしか存在しない。したがって、前方後円形が日本独自の形状であることは間違いない。

天円地方説とその限界

これまで、特殊な形状について、中国の思想に基づく「天円地方」(天は円形、大地は方形という宇宙観)を模したとする説があった。しかし、前方後円墳は天と地が並べられており、天円地方を明確に表しているとは言い難い。また、円を女性器、三角を男性器とする説もあるが、考古学的な証拠は乏しい。

ヤマト王権の墳形の継承システム

瀧音氏によれば、前方後円墳の形状には、被葬者の所属グループを明確化するという合理的な意図があった。ヤマト王権では、墳形が政治的なメッセージを伝える手段として機能していた。前方後円墳は、被葬者がヤマト王権の一員であることを示す「格式」として用いられ、その形状は王権内部での階層や地位を視覚的に表現していた。

高さが示す「被葬者の権威」

前方後円墳のもう一つの重要な特徴は、その高さである。後円部は前方部よりも高く築かれており、被葬者の権威を象徴している。さらに、遠近法の効果を利用して、後円部をより遠く、より巨大に見せる工夫がなされていた。これにより、前方から見ると後円部が遠くにそびえ立ち、被葬者の権威が強調された。

合理的な設計思想

瀧音氏は、前方後円墳の形状が単なる儀礼的なものではなく、視覚的な効果と政治的なメッセージを兼ね備えた合理的な設計であると結論づけている。最新研究は、古代の日本人が高度な幾何学的知識と遠近法の原理を駆使していたことを示している。

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