内閣府は、来年度から昼夜や天候に左右されずに地上を観測できる小型のSAR(合成開口レーダー)衛星をインフラ点検などに活用する取り組みを本格化させる。インフラの老朽化が進む中、保守・点検作業の効率化を図るとともに、宇宙産業の活性化につなげる狙いがある。
想定される活用場面
複数の政府関係者によると、具体的には道路や橋、港湾などの老朽化を探知したり、決壊すれば大きな被害が出る農業用ため池の堤防の損傷を観測したりすることを想定している。火山活動に伴う地形変化の測定にも利用できる。
観測の仕組みと頻度向上
SAR衛星は、地表に向けて電波を照射し、跳ね返ってきた反射波の強さや方向から地表の形状などを観測する。同じ地点を同じ角度で複数回撮影してデータを解析し、その期間に生じた変化を数センチ単位でとらえることも可能だ。多数の衛星を宇宙の低軌道上に配置する「衛星コンステレーション」を小型SAR衛星で構築し、撮影できる頻度を高める。
委託事業と予算
内閣府は、国土交通省、農林水産省といった関係省庁や、事業者からの観測ニーズを確認し、3年間程度の委託事業を実施する方針だ。関連費用として2027年度予算の概算要求に10億円を計上する。
内閣府は2022年度から小型SAR衛星網を使った実証事業を民間業者と進め、災害状況の把握などに活用してきた。衛星の機数が増え、撮影技術も向上したことから本格的な利用拡大に乗り出すことにした。



