盛岡市動物公園ZOOMOの企画広報・学芸員である荒井雄大氏が、動物園における動物福祉と環境エンリッチメントの重要性について解説した。動物園は生きた動物を飼育・展示する点で他の博物館と異なり、その役割として「種の保存」「調査・研究」「教育・環境教育」「レクリエーション」の四つが挙げられる。
動物福祉と動物愛護の違い
飼育動物の心身の状態を指す「動物福祉」は、科学的根拠に基づいて客観的に動物の健康を評価する考え方である。一方、「動物愛護」は人の感情を重視した主観的な考え方であり、両者は混同されがちだが、その点で明確に異なる。
環境エンリッチメントの実践
動物園の動物は本来の生息環境と異なる条件で暮らすことが多い。そのためZOOMOでは、野生での本来の暮らしに近づけるよう、動物福祉を向上させる「環境エンリッチメント」に取り組んでいる。
具体的には、食事に多くの時間を費やす動物には放飼場に食べ物を隠して時間をかけて食べられるようにし、木登りや穴掘りをする動物にはそうした行動ができる環境を整え、においや音で生活に刺激を与えるなどの工夫をしている。
飼育技術としての位置づけ
環境エンリッチメントは特別な取り組みではなく、動物の本来の暮らしを知り、個々の個性や小さな変化に気付くための日頃の観察など、飼育の基礎の延長線上にある飼育技術だとしている。来園者には、動物の行動や展示から野生での暮らしに思いをはせることで、新たな気付きや学びが得られることを期待している。



