がん手術などを遠隔で行う手術支援ロボット「ダビンチ5」が、三重県内で初めて鈴鹿中央総合病院(鈴鹿市)に導入され、今夏から運用が始まった。従来は執刀医が画面の「視覚」情報だけを頼りに操作していたが、「手元の感覚」も再現されるようになり、より精密で安全な手術につながることが期待されている。
最新モデルの特長
導入されたのは米国製のロボット「ダビンチ」の最新モデル。医師が座った状態で映像を見ながら、メスなどを備えたアームを遠隔操作する。患者の体に小さな穴を開けて患部の切除などを行うが、「人の手」による開腹手術に比べ穴が小さくて済み、出血量や手術後の痛みを抑え、入院期間を短縮できるメリットがあるという。
従来モデルとの違いは、アームの先端にかかる力の加減や重さが、操作する医師の手元に伝わる機能だ。医師は「視覚」だけでなく、実際の感触で判断できるため、皮膚を縫う際の糸の破断を防ぐなど安全性が高まるほか、映像がより鮮明になり、血管や神経を細かく観察できるようになった。
地域医療への期待
同病院に新設された「ロボット手術センター」の金兒博司・センター長は「手術する側にも患者にも大きなメリットだ」と期待を寄せる。
これまで鈴鹿市内には同程度の機能を備えた機器がなく、患者は同市外の医療機関に出向く事例もあったという。今後は結腸がんや鼠径(そけい)ヘルニア(脱腸)、前立腺がんの手術などでの活用を想定し、将来的には年間150~200例を目指す。
北村哲也院長は「今まで対応しきれなかった高度な医療を地域の中で完結できる意義は大きい。若手医師のスキル向上も見込め、優秀な医師が集まるきっかけにもなるだろう」と話している。



