トヨタと日産、EV用全固体電池の量産で提携へ
トヨタと日産、全固体電池量産で提携

トヨタ自動車と日産自動車が、電気自動車(EV)向け次世代電池「全固体電池」の量産技術で提携する方向で調整に入ったことが、複数の関係者への取材で明らかになった。両社は従来、独自に開発を進めてきたが、量産化のハードルを越えるため、開発リソースを結集する方針に転換。2028年までの実用化を目指し、電池コストを現行のリチウムイオン電池比で半分以下に抑える目標を掲げる。

提携の背景:量産技術の壁

全固体電池は、電解質を固体にすることでエネルギー密度を高め、充電時間を大幅に短縮できる次世代技術だ。トヨタは2020年代前半の実用化を目指していたが、量産工程での電解質の均一性や電極との密着性に課題が残り、計画は遅延。日産も2028年までの実用化を掲げるが、生産コストの低減が最大の難関となっていた。

両社の提携により、材料調達や製造プロセスの共通化が進むとみられる。関係者によると、トヨタが持つ硫化物系電解質の特許と、日産の電極設計技術を相互活用する案が浮上している。これにより、開発期間を2〜3年短縮できる可能性があるという。

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具体的な協力内容

提携の範囲は、全固体電池のセル設計からパック製造までを想定。両社は共同でパイロットラインを設置し、2025年までに量産技術の確立を目指す。さらに、素材メーカーや装置メーカーとの連携も強化する方針だ。

トヨタの関係者は「全固体電池はEV普及の鍵を握る。単独では限界がある分野で、日産と協力することで早期実用化を加速したい」とコメント。日産側も「競争領域と協調領域を明確にし、日本の電池産業全体の競争力向上につなげたい」と述べている。

業界への影響

今回の提携は、日本勢が中国や韓国の電池メーカーに後れを取る中で、巻き返しを図る動きとみられる。全固体電池の市場規模は2030年に2兆円を超えるとの試算もあり、両社の協業が業界標準の形成につながる可能性がある。

一方で、技術統合にはリスクも伴う。特に、両社の車両プラットフォームや電池パッケージの違いをどう調整するかが課題だ。専門家は「基本設計の共通化が進めば、サプライチェーン全体の効率化が期待できるが、互いの技術情報の開示範囲を巡って交渉は難航する可能性もある」と指摘する。

今後の展望

トヨタと日産は、2023年度内にも基本合意を結ぶ見通し。その後、詳細な協業スキームを詰め、2024年にも正式契約を目指す。両社は、全固体電池を搭載したEVの投入を2028年から順次開始し、2030年までに年間100万台規模の普及を目標に掲げる。

今回の提携が実現すれば、日本の自動車産業における大型協業の先例となる。政府も、経済安全保障の観点から電池の国産化を推進しており、補助金や税制優遇措置で支援する方針だ。

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