ソニーグループは、半導体事業の中核である画像センサー(CMOSイメージセンサー)で世界市場をリードし続けている。同社は2025年度までに半導体事業の売上高を2兆円に引き上げる目標を掲げ、車載や産業向けなど新たな領域への展開を加速している。
世界シェア首位の強みと課題
ソニーの画像センサーは、スマートフォン向けを中心に世界シェア約50%を占める。特に、積層型センサーや高ダイナミックレンジ技術で競合をリードし、アップルやサムスン電子など大手スマホメーカーに供給している。しかし、スマホ市場の成熟化に伴い、成長の鈍化が課題となっている。
ソニーセミコンダクタソリューションズの清水照士社長は「スマホ向けは安定的に需要があるが、次なる成長エンジンとして車載や産業、エッジAI向けを強化する」と述べている。
車載センサーで自動運転を支援
ソニーは車載向け画像センサーで、高精度な物体認識を可能にする技術を開発。特に、夜間や逆光でも鮮明な画像を提供する「ナイトビジョン」や、グローバルシャッター方式のセンサーで、自動運転レベル3以上のシステムに対応する。同社は2023年に車載センサーの新製品を投入し、トヨタやホンダなど自動車メーカーとの協業を進めている。
車載センサー市場は、2025年には現在の2倍以上の規模に成長すると予測されており、ソニーはこの分野でシェア拡大を狙う。
産業向けとエッジAIへの展開
産業向けでは、製造ラインの外観検査やロボットビジョン向けに高解像度センサーを提供。さらに、AI処理をセンサー内で行う「インテリジェントビジョンセンサー」を開発し、エッジコンピューティングの需要を取り込む。これにより、データ転送量の削減とリアルタイム処理を実現する。
ソニーは2024年に、AI処理機能を内蔵した新型センサーの量産を開始。これにより、工場の自動化や物流、医療画像診断など幅広い分野での応用が期待される。
生産能力の増強とサプライチェーン
ソニーは需要拡大に対応するため、長崎県や熊本県の工場で生産能力を増強している。2023年には、熊本県に新たな製造棟を建設し、2025年までに生産能力を現在の1.5倍に引き上げる計画。また、台湾のTSMCと提携し、先端ロジック半導体の安定調達を図る。
半導体の供給網(サプライチェーン)の多様化も進め、地政学的リスクに備える。ソニーは「日本国内での生産基盤強化とともに、海外パートナーとの連携を深める」としている。
競争環境と将来展望
競合のサムスン電子や中国の韋爾股份(オムニビジョン)が低価格帯で攻勢を強める中、ソニーは高付加価値戦略で差別化を図る。同社は「高品質なイメージング技術は、人間の目を超える」とし、自動運転や医療、セキュリティなど社会インフラへの応用を視野に入れる。
2025年度の半導体売上高2兆円目標に対して、2023年度の実績は約1.6兆円。ソニーは車載と産業向けの成長で残り4000億円の上積みを計画する。清水社長は「センサーはデジタル社会の目となる。ソニーはその進化を牽引する」と意気込む。



