ソフトバンクグループとNTTが、人工知能(AI)向け半導体の開発で激しい競争を繰り広げている。両社は次世代通信インフラの主導権を握るため、巨額の投資と優秀な人材の確保に奔走しており、日本の半導体産業復活の鍵を握る存在として注目を集めている。
背景:AI時代のインフラ争い
AI技術の急速な進展に伴い、データ処理の中核を担う半導体の重要性が増している。特に、5Gや6Gといった次世代通信網では、高速・大容量のデータ処理が求められ、AI半導体の性能が通信品質を左右する。このため、通信大手のソフトバンクとNTTは、自社でAI半導体を開発することで、通信インフラ全体の最適化を目指している。
ソフトバンクの戦略
ソフトバンクグループは、英半導体設計大手ARMの買収を完了し、AI半導体の設計能力を獲得した。さらに、米エヌビディアに対抗するため、自社開発のAI半導体「SB-AI」を投入し、通信基地局やデータセンターでの利用を想定している。孫正義会長は「AI半導体は未来の社会インフラの核」と述べ、積極投資を続ける。
NTTの戦略
一方、NTTは光電融合技術を活用した「IOWN」構想の一環として、AI半導体の開発を進めている。同社は、従来の電子回路に代わり光を使うことで、消費電力を大幅に削減しつつ処理能力を向上させる独自技術「APN」を開発。この技術を搭載したAI半導体を、2025年までに実用化する計画だ。
投資規模と人材争奪戦
両社の投資額は数千億円規模に上る。ソフトバンクはARMの買収に約4兆円を投じ、NTTはIOWN構想全体で約1兆円を投資する。また、優秀な半導体エンジニアの獲得競争も激化しており、年収1億円超のオファーも珍しくない。
日本の半導体産業への影響
この競争は、日本の半導体産業復活の起爆剤となる可能性がある。政府も半導体戦略の一環として、両社の取り組みを支援する方針だ。しかし、国際的な競争は激しく、米中対立の影響も受ける。両社の勝敗が、日本のデジタルインフラの将来を左右すると言っても過言ではない。
今後の展望
AI半導体を巡るソフトバンクとNTTの戦いは、単なる企業間競争を超え、日本の技術主権に関わる重要な局面を迎えている。両社がどのような差別化を図り、世界市場で勝ち残るか、その行方が注目される。特に、2025年以降の6G商用化を見据えた技術開発競争は、さらに激化すると予想される。



