焼損した壁画がデジタルでよみがえる
東アジア仏教芸術の至宝とされた奈良・法隆寺の金堂壁画(7世紀後半~8世紀前半)が、最新のデジタル技術で色鮮やかに復元された。1949年の火災で失われた色彩が高精細カラー画像で再現され、18日から奈良国立博物館で始まる特別展「南都仏画―よみがえる奈良天平の美―」(朝日新聞社など主催)で披露される。
戦前のガラス原板が鍵に
火災で焼損した壁画は現在、境内の収蔵庫で保管されている。しかし戦前、京都の美術工房「便利堂」がガラス原板を使って壁画12面を撮影しており、原寸大に分割した精密なモノクロ原板や、カラー印刷用の全図4色分解原板が残っていた。
写真科学のノウハウを持つ富士フイルムは、撮影当時の環境や機材の特性を検討。阿弥陀三尊が描かれた第6号壁について、ガラス原板の色データを復元してデジタルに取り込み、分割撮影されたモノクロ画像と合成。従来にない緻密さと鮮やかさを併せ持つ高精細カラー画像の再現に成功した。
科学的復元は初の試み
その結果、微妙な色の変化や髪の毛などの線の描き分けも明らかになった。金堂壁画については明治期から画家の手で模写が繰り返されてきたが、感覚や記憶に頼らず科学的に本来の色を復元したのは初めてだという。
焼損壁画の一般公開をめざす保存活用委員会の有賀祥隆・東北大名誉教授は「なびく髪や立体的な衣の線に驚かされた。誰が、いつ描いたかという問題へのヒントにもなるだろう」と話している。



