電気自動車(EV)の普及が加速する中、車載半導体の需要が急増している。2025年には世界の車載半導体市場が前年比15%増の600億ドルに達する見通しだ。この成長を牽引するのは、EVの電動化と自動運転技術の進化である。従来のガソリン車に比べ、EVは半導体の使用量が約2倍に増加するとされ、特にパワー半導体やセンサー、マイコンの需要が高まっている。
日本企業の対応と競争環境
日本の半導体メーカーもこの波に対応すべく、生産能力の増強を急いでいる。ルネサスエレクトロニクスは、車載向け半導体の生産を2024年までに20%増やす計画を発表。また、ロームもSiC(炭化ケイ素)パワー半導体の生産能力を倍増させる方針だ。しかし、海外勢の攻勢も激しく、米インテルや韓国サムスン電子も車載半導体市場への参入を強化している。
サプライチェーンの課題
半導体不足が続いた教訓から、自動車メーカーもサプライチェーンの見直しを迫られている。トヨタ自動車は、半導体の在庫を従来の3ヶ月分から6ヶ月分に増やす方針を打ち出した。また、部品大手のデンソーは、自社で半導体設計を手掛ける子会社を設立し、内製化を進めている。
業界関係者は「EVシフトは半導体にとって大きなビジネスチャンスだが、日本企業が競争力を維持するには、技術革新と生産効率の向上が不可欠だ」と指摘する。特に、次世代パワー半導体として注目されるGaN(窒化ガリウム)やSiCの分野で、日本企業の優位性をどう保つかが鍵となる。
政府の支援と今後の展望
日本政府も半導体産業の強化に乗り出している。2023年度補正予算では、半導体関連に約1.3兆円を計上。国内での生産拠点整備や研究開発を支援する。しかし、海外の大規模な補助金には及ばず、国際競争で劣後する懸念もある。
市場調査会社のIHSマークイットによると、2025年には車載半導体の需要が供給を10%上回る可能性があるという。日本企業がこの需要を取り込めるかどうかは、今後の投資と技術開発のスピードにかかっている。



