電気自動車(EV)シフトが世界的に加速する中、自動車部品サプライヤー大手のデンソーが車載半導体の内製化を本格化させる。同社は2025年までに半導体の生産能力を現在の3倍に引き上げる計画だ。これは、EVの電動化や自動運転技術の高度化に伴い、半導体の需要が急増していることが背景にある。
半導体不足が深刻化する自動車業界
世界的な半導体不足は自動車業界に深刻な影響を与えており、多くの自動車メーカーが生産調整を余儀なくされている。デンソーはこれまで外部の半導体メーカーから調達していたが、安定供給を確保し、競争力を強化するために内製化に踏み切る。同社の担当者は「半導体は車の頭脳であり、自社で開発・生産することで技術の差別化を図りたい」と述べている。
投資規模と生産体制の詳細
デンソーは愛知県内の既存工場を拡張し、新たな生産ラインを設置する。投資額は数百億円規模とみられる。生産能力を3倍に引き上げることで、同社の半導体調達量の約5割を内製で賄うことを目指す。対象となるのは、パワー半導体やマイコンなど、EVの性能に直結する重要部品だ。
業界への波及効果
デンソーの動きは、他の自動車部品サプライヤーにも影響を与える可能性がある。半導体の内製化は、長期的にはコスト削減や安定供給につながるが、巨額の投資が必要となる。業界関係者は「デンソーが成功すれば、他社も追随するだろう」と分析する。一方で、半導体の設計や製造には高度な技術が必要であり、すべての企業が内製化できるわけではないとの指摘もある。
今後の展望
デンソーは、半導体内製化によりEV向け部品の競争力を高めるだけでなく、自動運転技術の開発にも弾みをつける考えだ。同社はすでに、トヨタ自動車などと連携して次世代半導体の研究開発を進めており、2025年以降はさらに高度な半導体の生産も視野に入れている。EVシフトが加速する中、デンソーの半導体内製化戦略が自動車業界のサプライチェーンにどのような変革をもたらすか、注目される。



