自動車部品大手のデンソーは、電気自動車(EV)向け半導体の内製化を加速する。2030年までに、同社が使用する半導体の自社生産比率を現在の約10%から50%に引き上げる計画だ。これは、EVシフトに伴う半導体需要の急増に対応し、安定調達を実現するための戦略的な一手と位置づけられている。
半導体不足が自動車業界に与えた影響
2020年以降、世界的な半導体不足が自動車業界に深刻な打撃を与えてきた。多くの自動車メーカーが生産調整を余儀なくされ、デンソーも例外ではなかった。同社の林新之助社長は、「半導体の安定供給は、EV化の進展において不可欠な要素だ」と強調する。こうした背景から、デンソーは半導体の内製化によるサプライチェーンの強化を決定した。
デンソーの半導体内製化戦略
デンソーは、すでにパワー半導体やセンサー用半導体の一部を自社で生産しているが、今後は車載コンピューター向けの高性能半導体にも範囲を拡大する。具体的には、福島県の工場に新たな生産ラインを設置し、2025年までに量産を開始する予定だ。投資額は約500億円を見込んでおり、経済産業省の補助金も活用する方針である。
業界全体の動きと今後の展望
デンソーの動きは、自動車業界における半導体内製化の流れを象徴している。トヨタ自動車も、グループ企業と連携して半導体の安定調達を目指しており、日産自動車やホンダも同様の動きを見せている。半導体の内製化は、短期的にはコスト増加を招く可能性があるが、長期的にはサプライチェーンのリスク低減と競争力強化につながると期待されている。
デンソーは、2030年までに半導体の自給率を50%に引き上げることで、EV市場の成長に対応し、持続可能な事業基盤を構築することを目指している。同社の取り組みは、日本の自動車産業全体の競争力向上にも寄与するだろう。



