東洋経済オンラインに掲載された記事「日本の半導体復活なるか」は、日本の半導体産業の現状と課題、そして復活の可能性について詳細に分析している。記事は、日本の半導体産業がかつて世界をリードしていたが、現在は後退しているという認識から始まる。その原因として、1990年代以降の投資不足や、韓国・台湾などの競合国の台頭が挙げられている。
日本の半導体産業の衰退と現状
記事によると、日本の半導体産業は1980年代に世界市場の約50%を占めていたが、2020年には約10%まで低下した。特に、DRAMやNAND型フラッシュメモリーなどの汎用半導体では、韓国のサムスン電子やSKハイニックス、米国のマイクロン・テクノロジーに大きく水をあけられている。また、半導体製造装置や材料の分野では依然として強みを持つものの、半導体製造そのものでは後れを取っている。
経済産業省の担当者は「日本の半導体産業の競争力低下は、1990年代以降の投資不足が主因だ。特に、先端ロジック半導体の分野で遅れを取ったことが痛手となった」と述べている。先端ロジック半導体は、スマートフォンやAI(人工知能)向けの高性能チップに不可欠であり、現在は台湾積体電路製造(TSMC)や韓国サムスン電子が市場を席巻している。
政府の支援とラピダスプロジェクト
こうした状況を打開するため、日本政府は2021年以降、半導体産業への大規模な支援を開始した。記事では、特に注目されるのが「ラピダス」プロジェクトだと指摘している。ラピダスは、トヨタ自動車、ソニーグループ、NTT、ソフトバンク、キオクシアなど8社が出資する新会社で、2027年までに2ナノメートル(nm)世代の先端半導体の量産を目指している。
政府はラピダスに対し、2023年度までに約3,300億円の補助金を拠出することを決定した。さらに、2024年度以降も追加支援を行う方針だ。経済産業省の半導体戦略室長は「ラピダスの成功は、日本の半導体産業復活の鍵を握る。官民一体となって支援していく」と強調している。
また、TSMCの熊本工場への進出も大きな動きだ。TSMCはソニーグループやデンソーとの合弁で熊本県菊陽町に工場を建設中で、2024年末の稼働を予定している。政府はこの工場に対しても最大4,760億円の補助金を決定した。記事は、TSMCの進出により、日本の半導体製造技術の向上や、関連産業の集積が期待されると評価している。
課題と今後の見通し
しかし、記事は楽観的な見方だけではない。ラピダスの2nm半導体量産には、高度な技術力と巨額の投資が必要であり、実現可能性には懐疑的な見方もある。半導体業界アナリストは「2nm世代の量産には、TSMCやサムスンでさえ苦労している。ラピダスが単独で成功するのは容易ではない」と指摘する。
さらに、人材不足も深刻な課題だ。日本の半導体エンジニアは減少傾向にあり、新しい工場を運営するための人材確保が難しい。記事では、政府が大学や研究機関と連携して人材育成に乗り出しているが、効果が出るまでには時間がかかるとしている。
加えて、国際的な半導体競争の激化も見逃せない。米中対立の影響で、半導体のサプライチェーンが分断されつつあり、日本はどの陣営に立つのか難しい判断を迫られている。米国は対中国半導体規制を強化しており、日本もそれに同調する姿勢を見せているが、中国市場への依存度が高い日本企業も少なくない。
記事の結論として、日本の半導体産業復活には、政府の支援だけでなく、民間企業の努力や国際協力が不可欠だと述べている。特に、ラピダスとTSMCのプロジェクトが成功するかどうかが、今後の日本の半導体産業の命運を分けると予想される。



