ビニール傘でありながら1万円を超える価格帯でありながら、皇室や政治家、芸能人など幅広い層に愛用されている高級透明傘がある。その名は「縁結-雅-」。老舗メーカーが手掛けるこの傘は、単なる高級品ではなく、機能性と歴史に裏打ちされた逸品だ。
カテールから生まれた高耐久ビニール傘
「縁結-雅-」の前身は「カテール」と呼ばれるビニール傘。選挙の街頭演説者や警護関係者に愛用されていた高耐久のビニール傘で、透明で視界を遮らず、強風にも強いという特徴を持っていた。この機能性に注目したのが、当時の皇后美智子さま。実際に手にされてお気に召し、帰京後にはご自分用のビニール傘を所望されたという。
「宮内庁からの『壊れにくく視認性が高いビニール製で透明度が高いものを』という要望を受けて素材にも工夫しました。一般的なビニール傘には塩化ビニールが使われますが、生地同士がくっつきやすいので、素材には多層フィルムを使用するようにしました」と、同社の須藤社長は語る。
競合が真似できない「逆支弁構造」
さらに、それまでの製造ノウハウを踏まえて「逆支弁構造」という技術を開発。この技術は特許を取得している。宮内庁から「皇后さまは、お顔がよくみえるように、いつも肩に担ぐように傘をさされる」と聞き、正面からの風の際も持ち手のご負担を少しでも和らげるようにと、穴をあけることを考案。さらに、穴が目立たないようにする工夫も施された。
この「逆支弁構造」により、強風にあおられても傘が裏返らないよう、透明なフィルムに小さな穴をあけ、内側からの風を外へ逃がす。外からの雨は侵入せず、風だけが抜ける仕組みになっている。実際に納品した商品を園遊会で使用された美智子さまは、大変好まれたという。
その後、商品名を「縁結-雅-」と名付け、現在は同社の公式オンラインショップなどで1万7600円(税込み)で販売している。8本骨で58センチ、重さは約320グラム。手持ち部分には楓の天然木が使用されており、高級感と機能性を両立している。
選挙で“顔が見える”ために生まれた傘
この傘の起源は、選挙の街頭演説で候補者の顔を有権者に見せる必要性から生まれた。透明で視界を遮らず、強風にも耐えるという特性が、警護関係者や政治家の間で重宝され、やがて皇室の目に留まることとなった。現在では、一般ユーザーも購入可能で、その高い機能性とデザイン性から、芸能人を含む多くの人々に愛用されている。



