tom's Hardwareは8月17日(現地時間)、PC向けメモリ価格が過去に例のない水準まで上昇していると報じた。背景にはAIデータセンター建設の急拡大がある。DRAMの生産能力が大規模なAI関連需要へ振り向けられた結果、一般向けの供給が大幅に不足し価格が急上昇している。
DDR5価格は最安値の10倍、DDR4も約1.5倍に
米国のメモリ価格(最安値)データでは、DDR5-6400の128GBキットが3399ドル(本稿執筆時点の通貨レートで約54万円)に達している。過去最安値は329ドルだったことから、現在の価格は約10倍に跳ね上がった計算だ。DDR5-6000の32GBキットも392ドルで、過去最安値の72ドルから5倍以上に大きく上昇した。
PCPartPickerが公開している平均価格を2025年8月と2026年8月で比較したデータも同傾向を示した。主力のDDR5 32GB(16x2)キットおよび64GB(32x2)キットでは、前年から350~480%程度の価格上昇がみられた。
この価格上昇は1世代前のDDR4の値上がりも引き起こしている。DDR4-3200の16GB(8x2)キットは63ドルから163ドルへ159%上昇、同32GB(16x2)キットでは105ドルから281ドルへ168%上昇した。DDR5ほど急激ではないものの、旧世代でも約1.5倍の価格上昇が生じている。
欧州でも同様の傾向、供給不足は2030年まで続く見通し
DDR5の価格高騰を受け、一般消費者が古いプラットフォームに回帰していることも一因とみられる。さらにこの動きは米国だけにとどまらない。ドイツのComputerBaseによると、欧州の平均価格は2025年9月比で345%上昇。米国に迫る価格上昇率と言える。
供給面では、主要メーカー3社の2027年のDRAMおよびHBM生産能力がすでに売約済みと報じられている。そのため、2027年の一般向けの供給はさらに厳しくなる見込みだ。
供給不足の解消時期についても厳しい見方が示されている。SK hynixの最高経営責任者(CEO)を務めるKwak Noh-jung氏は、2027年がメモリー業界史上で最も供給環境の厳しい年になると警告し、需要が生産能力を上回る状況は2030年まで続くと予測した。ADATAのSimon Chen会長は、DRAM危機がさらに10年続く可能性を示している。
現時点では、一般向けメモリ価格の低下を示す材料は見当たらない。PCベンダーにとってメモリ価格は従来より大きな負担となっており、デスクトップPCやノートパソコン、タブレット、スマートフォンなど、幅広い製品の価格にも影響が及ぶ可能性がある。



