デジタルオーディオの進化が「レコードの有機的な鳴り方」に到達?Muse 300を試す
Muse 300試用: デジタルがレコードの有機的な音に

Muse HiFiのDAコンバーター「Muse 300」を試用した。この製品はDACチップとしてESS ES9039 Ultraを採用し、5インチの大型カラーディスプレイを装備、デジタル入力をアナログ信号に変換する。手元で使ってきたDAコンバーターと価格的には大きく変わらないが、音を出してみて驚いたという。

15年前のDAコンバーターとの違い

15年前のデジタルアナログ変換が、気負いが強く、解像感や鮮烈さを前面に押し出し、精一杯つっぱったデジタルなサウンドを奏でようとしてきたとすれば、この最新製品にはサウンドの扱いに余裕を感じる。早い話がトゲがなく、連続した空気の波、つまりアナログ的な音を楽しめる。自然な厚みとなめらかさを感じるのだ。デジタルらしい硬質さが後退し、解像感よりも音楽全体のまとまりを感じさせる。

誤解を恐れずにいえば、LPレコードをプレーヤーで再生し、そのアナログ信号をアンプに入れて再生したようなイメージだ。オーディオ趣味的にDAコンバーターにコストをかけるとなると、もう上を見たらキリがないのだが、MUSE 300はデジタル技術が極限まで進化した結果、皮肉にも「レコードのあの有機的な鳴り方」に辿り着いたのかもしれない。その印象は筆舌に尽くしがたいものがある。聴いていて疲れないのだ。

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使い方と印象

手元の環境ではストリーマーからDAコンバーターを介してアンプ経由でスピーカーを鳴らしているが、手軽にはスマホをMUSE 300にケーブルで有線接続してデジタル再生、有線ヘッドホンやイヤホンで楽しむような使い方もできる。Bluetoothで接続しての無線による完全ワイヤレスなオーディオ体験とはまったく違う異世界を体験することができるといっていい。

20世紀の音楽を聴くことが多い自分自身のオーディオ趣味には、かなりマッチすると感じた。1960年代から半世紀くらいにわたっての録音を再生したときに感じられる心地よさの正体がまさにそれで、針を落とした瞬間の盤面の気配と音楽が立ち上がってくるあの贅沢な質感を、現代のデジタルストリーミング環境で手軽に味わえる体験がこれほど簡単に手に入るとは思わなかった。

未熟な点と総合評価

もっともガジェットとしては成熟していない。操作感としてはまだまだだと思う。UXも洗練されているとはいえない。大きなスクリーンもタッチ非対応でボタンでの操作になる。でも、自分の使い方ではいったんセットしたらもうさわらないので特に気にならない。まさにトランスペアレントな存在だ。スマホで曲を選び、WiiM Proにキャストすれば、そのままMUSE 300を介して贅沢なサウンドが出力される。その心地よさが7~8万円で手に入る。デジタルオーディオの楽しみも、ここまできたかと感慨深いものがある。

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