「いい人」をやめられない、嫌われたくなくて本音が言えない、SNSを見て嫉妬してしまう自分が嫌になる――そんなモヤモヤした気持ちをノートに書き出し、自分の本音と向き合う「デトックス・ジャーナリング」が注目を集めている。精神科医の長沼睦雄氏(十勝むつみのクリニック院長)が著書『感情を手放してラクになる デトックス・ジャーナリング』(日本文芸社)で提唱するこの手法は、心の内側に溜まった「闇」や「影」を文字にすることで解放することを目的としている。
ジャーナリングの基本:誰にも見せないという鉄則
ジャーナリングを行う上で最も重要であり、絶対に守るべきルールは、「書いたものは絶対に誰にも見せない」と固く決めることだ。これは、日常生活で無意識に「いい人」や「ものわかりのいい大人」を演じる私たちの中に深く根づいた「他人の目」への恐怖心を完全に取り払うために必要だと長沼氏は説明する。
「こんなことを言ったら嫌われるのではないか」といった「心のブレーキ」が常に働いている状態では、本音を書き出すことは難しい。ジャーナリングの目的は心のデトックス、すなわち「内側にある闇や影を出すこと」にあるため、100%安心できる環境を用意することが不可欠だという。
物理的な安全確保が心理的な壁を壊す
まず、物理的な安全を確保することが推奨される。これは脳に「ここは安全だ」と信じ込ませるための儀式でもある。書き終わったら鍵のかかる引き出しにしまうことで、「物理的な壁」が「心理的な壁」となり、本音を引き出しやすくなる。長沼氏はこの方法を「あなたの心を守る仕組み」と位置づけている。
さらに、どうしても本音が出てこない、怒りや不安、嫉妬、恨みといったドロドロした感情を文字にするのが怖い人には、「書いたらすぐにシュレッダーにかける(破り捨てる)と決めてから書く」という方法が有効だ。誰にも見せないだけでなく、「この世に残さない」と決めることで、恐怖や罪悪感を軽減できる。
本音を書き出すことでエネルギーを奪う闇を解放
私たちの心の中には、「出してはいけない」と思い込んでいる激しい感情や、人には言えない黒い願望が眠っている。それらを文字にして形に残すこと自体に恐怖や罪悪感を覚える人は少なくない。長沼氏は「自分が死んだ後にこれを見られたらどうしよう」という未来への不安さえもブレーキになると指摘する。
「あいつなんていなくなればいい」「あの人が大嫌いだ」「全部投げ出したい」――そんな普段は口に出せない、認めたくないような本音こそが、エネルギーを奪っている闇や影の正体だ。シュレッダーにかけることを前提に、殴り書きでも、呪いの言葉でも、ぐちゃぐちゃな文字の羅列でも構わない。とにかくでたらめでも表現することだけに集中することが大切だ。
現代人の生きづらさを解消する一冊
『感情を手放してラクになる デトックス・ジャーナリング』では、精神科医として多くの悩みに向き合ってきた長沼氏が、「いい人をやめられない」「SNSで他人と比べてしまう」「理由もなく疲れてしまう」といった現代人の生きづらさを解説。話題のジャーナリングを通じて、自分の本音を見つけ、心のモヤモヤを手放す方法を紹介している。
本書では、怒りや不安との付き合い方、自分軸の育て方、さらには生成AIを活用した新しいジャーナリング術まで収録されており、毎日を少しラクにしたい人におすすめの一冊となっている。



