壁からわずか約15.8cmの距離で100型、最大200型の4K映像を投映できる超短焦点(UST)プロジェクター「Aetherion Max」が、AWOL Visionによって日本に正式上陸した。高輝度3300ルーメンと独自の黒レベル表現、そして超低遅延性能を備えたフラッグシップ機だ。
圧倒的な映像美と独自技術
Aetherion Maxは、最高峰のスペックを誇る4K RGBレーザー超短焦点プロジェクターだ。ガンメタルグレーのアルミニウム合金を採用した約8.75kgという重厚なボディーが共振を抑え、安定した投映を実現している。さまざまな角度を向いて光を美しく反射する独自のデザインは、どこか未来的で、リビングの主役を張る美しさを持っている。
電源を入れると、レンズを保護するカバーがスッと軽快に電動で開き、フロントパネルのLEDアンビエントライトが点灯する。所有欲をくすぐるギミックだ。背面インターフェースは充実しており、HDMI 2.1端子を3系統(うち1系統はeARC対応)備えるだけでなく、プロジェクターとしては極めて珍しいDisplayPort(DP 1.4a)まで搭載している。USB 3.0/2.0や有線LANはもちろん、通信規格は最新のWi-Fi 7とBluetooth 5.4をサポートしている。
内部にはMediaTekの高性能SoCと8GBのメモリ、128GBのストレージを搭載し、最新のGoogle TVがサクサク動く。Fire TV Stickなどを繋がなくても、単体でNetflixやYouTubeを高い画質で楽しめるのは非常にスマートだ。
驚異の画質とゲーミング性能
Aetherion Maxは、壁からわずか約15.8cm離すだけで100型、最大で200型の4K映像を投映できる。一般的な長焦点プロジェクターと異なり、プロジェクター本体とスクリーンの間に距離を設ける必要がないため、設置の自由度が高い。そして、注目すべきはその映像のスペックだ。
輝度は3300ルーメンと極めて高く、日中の明るいリビングでもテレビ同等の明瞭な映像が楽しめる。また、ホームシアターにおけるプロジェクターのスペックとして最も気になるのは、「黒の沈み込み」だ。つまり、黒がきれいに黒で表現されるかである。
Aetherion Maxはネイティブコントラストが6000:1となっている上に、独自の「Noirscene System II」を搭載している。これは機構式によるレンズの絞り機能と、レーザー出力を最適化する「EBLアルゴリズム」の連動によるもので、最大6万:1という驚異的なダイナミックコントラスト比を実現。プロジェクターにありがちな「映像の黒い部分が白っぽく浮いてしまう」という不満を解消している。
さらに超短焦点プロジェクターは、斜め下から急な角度で光を当てるため、映像がゆがんだりぼやけたりしやすいという欠点があった。それをカバーするのが、独自の「PixelLock」テクノロジーだ。4K映像の各ピクセルを正確に同期して画素ズレを徹底排除し、さらに高精度なサファイアガラスをレンズに採用することで、200型で投映した状態でも隅々までシャープなフォーカスを維持できる。
RGBレーザープロジェクターの最大の宿命が、視線を動かした際に虹色のチラつきが見える「レインボーノイズ」だ。Aetherion Maxは、カラーホイールを排除し、RGBレーザーを超高速で切り替える特許技術「Anti-RBE」を搭載している。これが常時オンで作動するため、激しいアクションシーンでもレインボーノイズを99.99%抑制できる。
実際に使って分かった没入感とゲーミング性能
実際にAetherion Maxを設置し、映像やゲームを体験したファーストインプレッションを紹介する。まず星空空間を背景にした映像を視聴したが、筆者がいつもベンチマークにしている漆黒が広がる星空空間のシーンにおける驚異的な黒の沈み込みと、静々とした星々の輝きには思わず言葉を失った。
これまでのプロジェクターで感じていた「黒がグレーに浮く」現象は微塵も感じられない。「有機ELに匹敵する黒レベル」との評価を事前に耳にしていたが、確かにその通りの実力を見せつけられた。思わず「もうこれでいいじゃん」と言葉をこぼしてしまったほどだ。また、PixelLock技術のおかげか、テストした100型の投映状態で映像の端まで極めてシャープに描画されていることを確認できた。そして、あえてレインボーノイズが出やすいハイコントラストの映像で視線を素早く動かしてみたが、Anti-RBE技術の効果は絶大で、不快なチラつきは全く確認できなかった。
映像美もさることながら、本機はゲーミングデバイスとしても最高峰だ。HDMI 2.1を生かし、4K/60Hz入力時の応答速度は約9〜14ms、1080p/240Hz入力時には最短路1〜3msという、ハイエンドゲーミングディスプレイに匹敵する超低遅延な性能を誇る。実際にゲーミングPCを接続して高フレームレートのレースゲームをプレイしたところ、プロジェクター特有の入力遅延は完全に払拭されていた。100型の視界全てがゲームの世界に浸る没入感と、コントローラーの操作が寸分の狂いもなく画面に反映されるレスポンスの速さは、ゲーミング用途でも十分に真価を発揮してくれる。
専用スクリーンとの組み合わせと購入情報
超短焦点プロジェクターのポテンシャルを極限まで引き出すなら、スクリーンの選定も妥協できない。公式オプションとして用意されている床置き式の電動スクリーン「Cinematic+ ALR」は、まさにAetherion Maxのためだけの相棒だ。ALR(環境光抑制)技術により、天井の照明や窓からの自然光を吸収/反射させ、プロジェクターからの光だけを視聴者に届ける。環境光を最大95%遮断するため、日中のリビングでも白飛びを防いでくれる。
映像を見ようとプロジェクターの電源を入れると、床に置いたケースからスルスルとスクリーンがせり上がる様子は、ちょっとした魔法のようだ。壁への掛けあけも天井配線も不要で、引っ越しの際もそのまま持っていける手軽さは、現代の住居事情に極めてマッチしている。さらに何より素晴らしいのが、そのユーザビリティだ。付属のUSBドングルをプロジェクター本体に差しておくと、電源のオン/オフによるスクリーンの連動開閉が可能になる。
開発元のAWOL Visionは、2020年に米国で設立されたホームエンターテインメントメーカーだ。映像愛好家であるアンディ・チャンCEOが、既存のプロジェクターが映し出す映像に満足できず、TV開発のエンジニアらを集めて自ら理想の製品を創り上げたという熱いバックグラウンドを持っている。同社の名を一躍有名にしたのが、先行して日本に上陸した長焦点プロジェクターシリーズの「Valerion」(ヴァレリオン)だ。Makuakeで総額3.2億円の支援を集めたことは記憶に新しい。今回のAetherionシリーズも米Kickstarterで開始わずか12時間で約1.5億円、最終的に約3億円相当という記録的な大成功を収めた。そんな世界の映像愛好家が認めたフラッグシップ機が、ついに日本へ本格上陸を果たすことになる。
今回試したAetherion Maxと、その弟分に位置する「Aetherion Pro」は、現在Makuakeにて先行予約販売プロジェクトを実施中だ(10月21日まで)。ホームシアター専門店の「アバック(AVAC)」と連携しており、実店舗での体験サポートも受けられるという力の入れようだ。気になる価格だが、Makuakeの「超早割」では、Aetherion Max単体が36万9800円(一般販売予定価格の48%オフ)、Aetherion Proが30万9800円(同44%オフ)、そしてMaxと100型の電動ALR床置きスクリーンとのセットが62万9600円(同40%オフ)となっている。
高級TV1台分の予算で、有機ELに匹敵する画質の最大200型ホームシアターが手に入るとなれば、決して高い買い物ではない。大画面への憧れを抱きつつも設置のハードルで諦めていた方、画質にもゲームの応答速度にも妥協したくない本格派ユーザーにとって、Aetherion Maxは「これしかない」と思わせる究極のソリューションだ。超早割プランは早期完売が予想されるため、気になる方は早めにプロジェクトページをチェックしてみてほしい。



