ボルボの新型フラッグシップEV「ES90」に試乗した。セダンやワゴンのボルボに乗るユーザーにとって、乗り換え先の有力候補となるモデルだ。走行性能は高く、車内は上質で快適、充電性能も優秀だった。
EX90の兄弟車として登場
ボルボの電動トップモデルにはSUVの「EX90」があるが、ES90は背の低い5人乗りクロスオーバースタイル。プレスリリースでは「セダンの洗練されたエレガンス」「5ドアハッチバックスタイルの実用性」「SUVの広々とした室内空間と高められた最低地上高」を兼ね備えた、従来のカテゴリーに収まらないモデルと説明されている。
ES90はボルボの新しい「SPA2アーキテクチャー」を採用する統合型技術基盤「スーパーセット・テックスタック」で開発された次世代SDV(ソフトウェア・デファインド・カー)。背の高さは違うがEX90とは兄弟車で、この2台が今後のボルボを牽引する。
箱根ターンパイクでの走行インプレッション
試乗では芦ノ湖周辺の一般道と箱根ターンパイクのワインディングを走行。乗車したのはツインモーターの最上級グレード「Ultra Twin Motor Performance」(1229万円)だ。全長5メートル、2.5トンの巨体で日本を走った。
芦ノ湖周辺はインバウンド客で混雑していたが、エレクトロクロミック・パノラマガラスルーフの下、ワンペダルで車速をコントロールしながら、遮音性の高い車内でBowers&Wilkinsオーディオを楽しむことができた。
ターンパイクではワンペダルを「高」、ドライブモードを「Performance」に設定すると車高が18ミリ下がる。下り坂では強力な回生ブレーキが効き、上り坂では680PSのパワーを解放。アクセルペダルだけで重量級ボディを思い通りにコントロールできた。ただし、シフトダウン時の刺激的なサウンドがないため、速度管理には注意が必要だと感じた。
240kW急速充電で254.3kWを記録
ターンパイク頂上の大観山パーキングには国内最速の240kW出力を誇る「FLASH」の急速充電器が設置されている。試してみたところ、254.3kWもの超高速で充電を実現。6分間で18.50kWhの電気を消費し、残量は54%から70%まで回復した。最新ハイスピード充電器の普及が電気自動車の需要拡大に直結することが確信できた試乗会だった。
グレード構成と主要スペック
ES90にはシングルモーターの「Plus」(979万円)と「Ultra」(1129万円)、ツインモーターの最上級「Ultra Twin Motor Performance」(1229万円)の3グレードがある。「Plus」は「S90」のPHEVモデルとほぼ同じ価格で、買い替え需要を狙った戦略的な価格設定だ。現状の受注は7割がツインモーター、残り3割がUltraという。
ボディサイズは全長5000ミリ、全幅1940ミリ、全高1545ミリ、ホイールベース3100ミリ、車両重量2560キロ。前後2基のモーターはシステム総合で最高出力500kW(680PS)、最大トルク870Nm。0-100km/h加速は4.0秒。バッテリーは106kWhで、一充電走行距離は720km(WLTCモード)だ。
プラットフォームはEV対応に大改造したSPAジェネレーション2で、800Vアーキテクチャを採用。中央コンピューター「HuginCore」にはNVIDIAのOrinチップ(毎秒254兆回の演算)を搭載し、インフォテインメントシステムには「Snapdragon Cockpit Platforms」を採用。車両は購入後もOTA(無線アップデート)で進化を続ける。
エクステリアはエアロダイナミクスを意識したフラッシュサーフェイス・デザインで、通常のセダンよりわずかに背が高い。リアには新型の垂直C字型LEDランプを採用するが、リアガラス左右の縦型ライト部は日本の法規上の問題で点灯できない仕様となっている。
インテリアはFSC認証を受けた天然木を使用したダッシュボードやファインナッパレザーシートなど北欧テイスト満点。リアシートはロングホイールベースの恩恵で前後方向が広く、リラックスして着座できる。バッテリー搭載で床面が高いというネガポイントを補っている。ダッシュボードにはEX90と異なり、センターディスプレイの下にレストスペースが追加され、暗くなると星が降るように光るイルミネーテッド・ウッドデコラティブパネルはモールス信号で「ボルボ」と表現される意匠になっている。



