英政府は、電気自動車(EV)販売義務を定めるZEV(Zero Emission Vehicle)規制を緩和する方針を固めた。運輸省は2025年1月、自動車メーカーに対するEV販売比率の目標を引き下げる修正案を発表する見込みである。
規制緩和の背景
ZEV規制は、2024年から新車販売の一定割合をEVとすることを義務付けるもので、2024年は22%、2025年は28%、2030年には80%と段階的に引き上げられる予定だった。しかし、自動車メーカーからは「目標が非現実的」「罰金が重すぎる」との批判が相次いでいた。
特に、2024年の目標達成が困難なメーカーには、1台あたり1万5000ポンド(約280万円)の罰金が科される可能性があり、業界全体で年間数十億ポンドの負担になると試算されていた。このため、日本や欧州の自動車メーカーがロビー活動を強化し、政府に規制見直しを求めていた。
修正の主な内容
運輸省の関係者によると、修正案では2024年の目標を22%から18%に引き下げる方向で調整が進められている。また、2025年以降の目標も同様に数ポイント引き下げられる見込みである。一方、2030年にガソリン車とディーゼル車の新車販売を禁止する目標は維持される。
さらに、罰金の算定方法も見直され、EV販売が目標に達しなかった場合でも、一定の柔軟性が認められる仕組みが導入される。具体的には、他社とのクレジット取引や、超過達成分の繰越しが容易になる。
業界の反応
英国自動車工業会(SMMT)のマイク・ホーズ最高経営責任者(CEO)は、「政府が業界の声に耳を傾けたことを歓迎する。これで英国の自動車産業の競争力が維持され、雇用も守られる」と評価した。一方、環境団体からは「気候変動対策の後退だ」との批判が上がっている。
実際、2024年のEV販売シェアは約16%にとどまっており、18%の目標でもなお達成は容易ではない。しかし、業界は「需要喚起策の強化」を求めている。例えば、充電インフラの整備や購入補助金の復活などが不可欠だと主張する。
今後の見通し
運輸省は2025年1月に詳細な修正案を公表し、その後議会での審議を経て、2025年半ばにも施行される見通しである。この規制緩和が、英国のEV普及にどのような影響を与えるか注目される。
英政府は、2030年目標を堅持しながらも、現実的な道筋を描く必要に迫られている。自動車メーカーは、規制緩和を歓迎しつつも、長期的なEV戦略への影響を注視している。



